調達仕様書の作成に、毎回何日もかけていませんか。
官公庁や自治体の調達担当になったばかりの方から、「仕様書の書き方がわからない」「参考になる過去資料を探すだけで一日終わる」といった声をよく耳にします。個人的にも、公的機関のDX支援に携わってきた中で、仕様書作成の工数が調達業務の大きな負担になっている現場を数多く見てきました。そんな課題を解決する手段として注目されているのが、調達インフォの生成AIを活用した仕様書自動作成機能です。
この記事では、調達インフォとは何かという基本から、仕様書原案がどこまで自動で作れるのか、そして実務でどう活かすかまでを、できるだけわかりやすくまとめました。
この記事で学べること
- 調達インフォは全国の公的機関向けに提供される購買調達支援サービスである。
- 生成AIによる仕様書自動作成で作業時間を最大8割削減できる可能性がある。
- 質問に答えるだけで仕様書原案が9割程度まで完成する仕組みがある。
- AI生成案は「たたき台」として使い、人の目で必ず修正することが重要。
- 仕様書の基本構造を理解すれば自動作成の効果はさらに高まる。
調達インフォとは何か
調達インフォは、官公庁・自治体・独立行政法人などの公的機関向けに提供される購買調達支援サービス、いわゆるGovtech(行政向けテクノロジー)の一つです。
Govtechとは、簡単に言えば「行政の仕事を効率化するためのIT技術やサービス」のことを指します。
このサービスは、全国の調達情報を集約し、調達業務のさまざまな場面をサポートする点が特徴です。過去の入札結果や他機関の調達事例を検索できるほか、近年は生成AIを組み込んだ仕様書作成支援機能が加わり、注目を集めています。
調達担当者にとって、最も時間がかかる業務のひとつが仕様書の作成です。ここにAIの力を取り入れることで、担当者の負担を大きく減らそうというのが、この機能の狙いといえるでしょう。
仕様書自動作成機能でできること

調達インフォの仕様書自動作成機能は、生成AIを活用して仕様書の原案を作り出す仕組みです。
質問に答えるだけで原案が完成する仕組み
この機能の基本的な流れは、画面に表示される質問に順番に答えていくというものです。
調達したい物品やサービスの内容、予算規模、納期、求める要件などを入力していくと、AIがそれらを整理し、仕様書の形にまとめてくれます。ゼロから白紙の状態で書き始める必要がなくなるため、経験の浅い担当者でも取り組みやすくなっています。
期待できる作業時間の削減効果
公表されている情報によると、この機能を使うことで仕様書作成の作業時間を最大8割程度削減でき、原案が9割ほど完成した状態から始められるとされています。
数字で見ると、その効果の大きさがよくわかります。
仕様書作成の作業時間削減効果
たとえば、これまで一つの仕様書に丸2日かけていた場合、その多くの時間を確認や調整に回せるようになります。
庁内フォーマットへの転用
出力された原案は、各機関で使っている既存のフォーマットに合わせて調整することが想定されています。
生成された文章をそのまま使うのではなく、庁内のルールや様式に沿って整える工程を挟むことで、実務にしっかり馴染む仕様書に仕上げられます。
仕様書自動作成を使うステップ

実際の利用の流れを、大まかなステップで整理してみます。
調達内容の整理
何を調達したいのか、予算や納期などの基本情報を手元にまとめます。
質問に回答
画面の質問に沿って情報を入力し、AIに必要な条件を伝えます。
原案の確認と修正
生成された原案を読み込み、庁内様式や実情に合わせて調整します。
調達仕様書作成の基本を押さえる

AIをうまく使いこなすためには、仕様書そのものの基本構造を理解しておくことが欠かせません。
仕様書に盛り込むべき要素
一般的に、調達仕様書には調達の目的、対象となる物品やサービスの詳細、数量、納期、納入場所、求める品質や性能、支払条件などを記載します。
総務省やデジタル庁などが示す調達関連の指針でも、要件を明確かつ公平に記述することが重視されています。あいまいな表現は入札者の解釈のばらつきを招き、後のトラブルにつながりかねないためです。
AI生成案をブラッシュアップするコツ
AIが作った原案は、あくまで出発点です。
具体的には、固有の要件や地域事情を追記し、不要な部分を削り、数値や条件に誤りがないかを一つずつ確認していきます。この工程を丁寧に行うことで、AIの効率性と人の判断力を両立させた仕様書が完成します。
導入によるメリットと留意点
生成AIによる仕様書作成には、大きな利点がある一方で、押さえておくべき点もあります。
メリット
- 作成時間を大幅に短縮できる
- 経験の浅い担当者でも取り組める
- 記載漏れを防ぎやすくなる
- 要件の精査に時間を回せる
留意点
- 生成内容の確認作業は必須
- 機関固有の事情は反映が必要
- 公平性や法令適合の判断は人が担う
- 機密情報の取り扱いに注意
AIはあくまで担当者を支援する道具であり、最終的な責任は人にあるという点が最も重要です。この前提を共有しておくことで、庁内での導入もスムーズに進みやすくなります。
行政のデジタル化を進める動きは、自治体のスタートアップ支援の現状とも密接に関わっており、外部の知見を取り入れる姿勢が広がりつつあります。こうした民間サービスとの連携は、スタートアップと自治体の連携方法を考えるうえでも参考になるでしょう。
よくある質問
調達インフォの仕様書自動作成は誰でも使えますか
基本的には官公庁・自治体・独立行政法人などの公的機関の調達担当者向けに提供されています。利用条件や料金の詳細は、提供元への確認をおすすめします。
AIが作った仕様書をそのまま入札に使えますか
そのままの使用は推奨されません。生成案はたたき台と考え、機関固有の要件や公平性、法令への適合を担当者が確認・修正したうえで使用することが前提です。
仕様書作成の経験がなくても使いこなせますか
質問に答える形式のため、経験の浅い方でも原案を作りやすい設計になっています。ただし、内容の妥当性を判断するには、仕様書の基本構造への理解があるとより効果的です。
作業時間はどのくらい短縮できますか
公表されている情報では、最大8割程度の削減が示されています。実際の効果は調達内容の複雑さや確認作業の量によって変わるため、あくまで目安として捉えるとよいでしょう。
機密性の高い調達でも使えますか
機密情報の取り扱いについては、各機関のセキュリティ方針やサービスの利用規約を必ず確認してください。入力する情報の範囲を事前に整理しておくことが大切です。
まとめ
調達インフォの仕様書自動作成機能は、生成AIを活用して仕様書原案を素早く用意し、調達担当者の負担を大きく減らす可能性を持っています。
一方で、生成された内容の確認や修正は欠かせず、最終的な判断は人が担うという原則は変わりません。
まずは仕様書の基本構造を押さえたうえで、小さな案件から試してみることをおすすめします。AIを賢い相棒として使いこなすことで、調達業務の質とスピードの両立が現実のものになっていくはずです。
