プロスポーツクラブが地域の起業家を育てる。そんな新しい取り組みが、いま神奈川県で静かに広がっています。
湘南ベルマーレフットサルクラブとパソナJOB HUBが結んだ包括連携協定は、「新しい働き方の創造と地域活性化」を掲げ、ローカルベンチャー起業家の育成やテレワーク人材の育成を進めるものです。地域創生の現場に携わってきた中で感じているのは、スポーツクラブが持つ「地域とのつながり」という資産が、実はビジネス支援の場面で大きな力を発揮するということです。
この記事では、協定の具体的な中身から、なぜスポーツクラブが起業支援に乗り出すのか、そして自治体や企業がこうした連携から学べることまでを、実務的な視点で整理していきます。
この記事で学べること
- 湘南ベルマーレとパソナJOB HUBの連携協定は「働き方」と「地域活性化」の両立を狙った包括的な枠組み。
- 協定の柱はローカルベンチャー起業家育成とテレワーク人材育成の2本立て。
- スポーツクラブが持つ地域ネットワークが起業支援で独自の強みになる。
- こうした官民スポーツ連携モデルは他地域でも応用可能な地域創生の新型。
- 連携を成功させる鍵は「地域資源の見える化」と「継続的な伴走支援」にある。
湘南ベルマーレとパソナJOB HUBの連携協定とは
まず、この協定の全体像を押さえておきましょう。
湘南ベルマーレフットサルクラブとパソナJOB HUBが結んだのは、「新しい働き方の創造」と「地域活性化」を同時に目指す包括連携協定です。単なる業務提携ではなく、地域社会全体を巻き込んだ取り組みである点が特徴といえます。
パソナJOB HUBは、人材サービスで培ったノウハウを地域創生分野に展開してきた企業です。一方の湘南ベルマーレは、Jリーグクラブとしての知名度に加え、地域に深く根ざした活動を続けてきました。この2つの組織が手を組むことで、「人」と「地域」をつなぐ新しい仕組みが生まれています。
協定の背景には、コロナ禍以降に加速したテレワークの普及があります。働く場所の自由度が高まったことで、都市部から地方への人の流れが生まれ、地域で新しいことを始めたいという人が増えてきました。
新しい働き方の創造と地域活性化を、地域に根ざしたスポーツクラブと人材のプロが一緒に進めていく。
協定を支える2つの育成プログラム

この連携協定の中身は、大きく2つの柱で構成されています。
ひとつがローカルベンチャー起業家の育成、もうひとつがテレワーク人材の育成です。どちらも「地域で働き、地域で価値を生む人」を増やすことを目的としています。
ローカルベンチャー起業家育成
地域の課題を解決する起業家を発掘し、事業の立ち上げから成長までを支援する。
テレワーク人材育成
場所にとらわれない働き方ができる人材を育て、地域で活躍できる環境を整える。
ローカルベンチャー起業家育成の狙い
ローカルベンチャーとは、その地域ならではの資源や課題を活かして事業を興すスタートアップのことです。都市部の大規模なスタートアップとは違い、地域に密着した小さな挑戦から始まるケースが多いのが特徴です。
この育成プログラムでは、事業アイデアを持つ人を発掘し、実際にビジネスとして形にするまでを支援します。ここで湘南ベルマーレが持つ地域ネットワークが生きてきます。
クラブは地元企業や自治体、そしてサポーターという幅広いつながりを持っています。起業家にとって、こうしたつながりは事業を軌道に乗せるうえで何よりの財産になります。
テレワーク人材育成の意義
もうひとつの柱がテレワーク人材の育成です。
働く場所が自由になった今、「湘南で暮らしながら働く」という選択肢が現実的になってきました。テレワークのスキルを身につけた人材が増えれば、地域に定住しながら都市部の仕事もこなせるようになります。
これは地域にとって、人口流出を防ぎ、新しい住民を呼び込む力にもなります。人材のプロであるパソナJOB HUBの知見が、まさにここで発揮される部分です。
なぜスポーツクラブが起業支援に乗り出すのか

ここで少し立ち止まって考えてみましょう。なぜ、フットサルクラブが起業家育成という一見畑違いのことに取り組むのでしょうか。
理由は、スポーツクラブが持つ「地域資産」にあります。
クラブが持つ強み
- 地元企業や自治体との厚い信頼関係
- サポーターという熱心な地域コミュニティ
- 地域を代表する高い知名度と発信力
補いたい要素
- 起業やビジネス育成の専門ノウハウ
- 人材の発掘とマッチングの仕組み
- 継続的な事業支援の体制づくり
クラブが持つ強みと、パソナJOB HUBが持つ専門ノウハウ。この2つが組み合わさることで、単独ではできなかった取り組みが実現します。
地域におけるスタートアップ支援の広がりについては、自治体のスタートアップ支援の現状を見ると、行政だけでは手が届きにくい部分が多いことがわかります。だからこそ、民間の力を組み合わせる連携が意味を持ってきます。
連携協定が地域にもたらす価値

この協定が生み出す価値は、起業家個人にとどまりません。
地域全体に波及する効果があります。新しい事業が生まれれば雇用が増え、テレワーク人材が定着すれば地域に活気が戻ります。人が集まる場所には、さらに人が集まるという好循環が生まれるのです。
連携が生む価値の広がり
スポーツクラブと人材企業の連携は、地域創生の新しいモデルとして注目されています。行政主導ではない、民間発の地域活性化という点で、他地域にとっても参考になる事例です。
他地域が学べる連携のポイント
この事例から、自治体や企業が学べることは多くあります。
大切なのは、いきなり大きな枠組みを作ろうとしないことです。まずは地域にある資源を見える化し、それを誰と組めば活かせるかを考えるところから始まります。
スポーツクラブに限らず、地域には商店街や大学、地元メディアなど、活用できる資産が眠っています。こうした資源と外部の専門ノウハウをつなぐ発想が、連携成功の第一歩です。実際の進め方については、スタートアップと自治体の連携方法にまとめられた手順が参考になります。
連携を始める前の確認事項
よくある質問
連携協定に参加するには何が必要ですか
起業に関心がある方や、テレワークのスキルを身につけたい方が対象になります。具体的な参加条件は募集ごとに異なるため、湘南ベルマーレやパソナJOB HUBの公式発表を確認するのが確実です。地域に貢献したいという意欲が何より大切だといえます。
フットサルの経験がなくても参加できますか
はい、この取り組みはスポーツの技術を問うものではありません。あくまで起業家育成とテレワーク人材育成が目的です。クラブが持つ地域ネットワークを活かした支援が中心なので、ビジネスや働き方に関心があれば参加を検討できます。
ローカルベンチャーとスタートアップは何が違うのですか
ローカルベンチャーは、その地域ならではの課題や資源を活かした事業を指すことが多いです。全国展開を前提とする一般的なスタートアップと比べ、地域密着で身の丈に合った規模から始める点が特徴です。どちらが優れているというより、目指す方向性の違いといえます。
こうした連携は費用がかかりますか
プログラムの内容によって異なります。無料で参加できる説明会やイベントもあれば、本格的な事業支援では一定の費用が発生する場合もあります。まずは公式情報で最新の条件を確認することをおすすめします。
他の地域でも同じような取り組みはできますか
十分に可能です。スポーツクラブに限らず、地域の核となる組織と専門ノウハウを持つ企業が組めば、同様の枠組みは作れます。大切なのは地域資源の見える化と、継続的に支援を続ける体制づくりです。
まとめ
湘南ベルマーレとパソナJOB HUBの連携協定は、スポーツクラブの地域資産と人材企業の専門ノウハウを掛け合わせた、新しい地域活性化のかたちです。
ローカルベンチャー起業家の育成とテレワーク人材の育成という2つの柱を通じて、地域に新しい事業と人の流れを生み出そうとしています。
この取り組みは、まだ始まったばかりです。今後どのような起業家が生まれ、地域がどう変わっていくのか。同じように地域の未来を考える方にとって、大いに参考になる事例になっていくことでしょう。まずは自分の地域にどんな資産が眠っているか、見つめ直すところから始めてみてはいかがでしょうか。
