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コロナ禍で遅れた山口県、女性デジタル人材育成で巻き返す 子育て世代の活動が盛んに

田子さん山口県での取り組み
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「コロナ禍の3年間で、地方と都心でのデジタルへの格差がすごく広がったように感じます。とくに私の出身地である山口県は、コロナ禍におけるテレワークの普及率は非常に低かったと言われていました。そんな山口県は、いまでは女性のデジタル人材の創出にすごく力を入れているんですよ」

こう話すのは、株式会社コスモピア ファウンダー 田子みどりさん。田子さんは現在ヒューマンクリエイションホールディングスの特別アドバイザーを務めるだけでなく、出身県である山口県において起業家育成や地域活性化にも取り組んでいる。

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テレワークは「普及しなかった」ではなく「普及できなかった」

山口県の実際について、田子さんは次のように話した。

「都心と異なり、山口県では工場など製造業が盛んな地域です。そのため、東京のように、リモートでできる仕事は少なく、職場に行かないとできない仕事が大半です。

東京など都心では、コロナ禍がきっかけになり、テレワークが普及したことなども影響して急速にデジタル化が進んだように感じます。一方で山口県のような地域では、地盤産業などの理由が背景にあり、結果としてデジタル化の進捗も東京などと比べると“ゆっくり”になっている状態です」

この状況は、おそらく山口県以外でも同様だろう。都心で働いていると、テレワークは一般的となっているように思えるが、実はそんなこともない。地域の中核を担う産業によって、働き方が大きく変化するのは至極当然のことだ。

都心などでは、こうしたテレワーク等を半ば強いたこともあり、田子さんが話すようにデジタル化が進んだ。反面、こうしたムーブメントが発生しなかった地方においては、デジタル化が進まなかった……というよりも、デジタル化を進められなかったり、進める必要性に気が付きにくかったりしているのかもしれない。

鳥取や島根と比較しても10%低い「子育て世代の労働力率」

続けて田子さんは、山口県における子育て世代の女性について話した。国勢調査で明らかになった、山口県における女性の社会進出が近隣県と比較すると“低い”ことだ。

「山口県は、25歳から44歳の『子育て世代』における労働力率(M字カーブ)は75.3%で、近隣の鳥取県(84.2%)や島根県(85.3%)と比べると10%も低い数値です。

県内にも大きな企業はあるものの、先に話したように製造業が中心です。こうした産業的理由もあり、子育て世代における女性の労働率は、近隣県に比べて低くなってしまう背景があるのだと思っています。

また、県民性としてもまだまだ“女性は家庭に入る”という文化が根付いているのかなとも感じます。実際、大学の研究でも、保守的な県民性は全国でも山口県がトップだと言われています」

内定取得率73%のデジタル人材創出プログラム

山口県としても人材不足を解決するべく、女性の社会進出を後押しした。

「首長による旗振り効果は非常に大きく、ここ数年で行政側だけでなく企業側からも受け入れ態勢の整備がはじまりました。そのなかで私たちが支援できる領域だと感じたのがデジタル人材育成です。子育て世帯の労働力率を向上させるには、在宅でも働きやすい就業先が重要だと考えました」

田子さんが理事を務める一般社団法人 女性活躍委員会では、現在は山口県において女性の社会進出や就業などをサポートしている。

「2023年度に山口県内の女性を対象として、デジタル人材育成プログラムを実施しました。プログラマー養成をうたい文句にして、まずはウェブサイト制作ができるようになるプログラムを用意しました。

定員は当初は20名で設定していたのですが、応募者数は80名近く。30から40代の方が中心でした。県の意向などもあり、応募していただいた方はもれなく受講できるようにしました。

オンラインとeラーニングによる96日間におよぶカリキュラムで、最終的な修了者は33人いらっしゃいました。この修了者のうち、企業から内定をいただいたのは24名もいらっしゃったのです」

山口県
▲ 「選べる働き方」「子育てとの両立」などは子育て世代にとって気になるワードだ。(田子さんらが取り組む山口県でのWebエンジニア育成プログラムのサイトよりキャプチャ)

73%という非常に高い内定取得率。単純にプログラムの質が良かっただけでなく、各人のポートフォリオを作成させ、自身の強みや何が作れるのかなども伝えられるように指導したことも、内定取得率を底上げした理由にあるそうだ。

そしてなによりも、「企業とコンソーシアムを形成した取り組みだったことが内定率を高めた」と田子さんは話す。

要するに、デジタル人材になるための技術などを身に着けられ、出口戦略とも言える内定先も目星がついている、そういった取り組みだったのだ。

「ほかの地域でも同様のお手伝いができれば」

田子さんらの女性活躍委員会のデジタル人材育成プログラムは2024年度も開催する。今年度はこれまでの取り組み内容に加えて、新たに企業へのインターンシップなども盛り込むそうだ。

「現在は山口県での取り組みですが、ほかの地域でも山口県と同じように、労働力率の低下や女性の社会進出などで課題を感じているところはあると思います。さまざまな地域における労働力を向上させられれば、働き方の自由度も増すと思いますし、地域全体の活性化に繋がると思います。

ゆくゆくはほかの地域でも同様のお手伝いをさせていただき、女性の社会進出を今以上に機会をつくっていきたいです」

田子みどり

山口県萩市生まれ、早稲田大学第一文学部卒。1983年大学卒業と同時に、女性の就業と職域の拡大を目指して、株式会社コスモピアを設立し代表取締役社長に就任。2024年9月に社長を退任し創業者として同社に関わるほか、同年10月にヒューマンクリエイションホールディングス特別アドバイザーに就任。
経済産業省産業構造審議会地域経済産業分科会委員、東京都中小企業振興対策審議会委員・小委員会副委員長などを歴任。また子育て中は、公立小学校のPTA会長も経験。
女性創業応援やまぐち株式会社 取締役、NPO法人ふるさと山口経営者フォーラム 監事、一般社団法人東京ニュービジネス協議会 特別理事、一般社団法人女性活躍委員会 理事、萩ふるさと大使などを兼任。

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