ハーチ株式会社は10月9日、自治体のサーキュラーエコノミー政策を支援する「サーキュラーシティ移行ガイド」を発行した。このガイドは三井住友信託銀行と共同で開発された。自治体のサーキュラーシティへの移行プロセスを10ステップで解説している。
循環経済は国家戦略として取り組むべき政策課題
気候変動や資源枯渇など、環境や資源の制約・リスクが深刻化するなか、成長機会を見出す手段としてサーキュラーエコノミー(循環経済)の重要性が急速に高まっている。令和6年7月の関係閣僚会議において岸田首相(当時)は「循環経済は国家戦略として取り組むべき政策課題である」と発言したほどだ。
また、サーキュラーエコノミーへの移行は産業界だけでなく地域においても重要であり、経済産業省は成長志向型の資源自律経済戦略において、「地域特性を活かした循環型経済モデルの創出」の重要性を強調していた。また、環境省は第五次循環型社会形成推進基本計画において、重点分野として「多種多様な地域の循環システムの構築と地方創生の実現」を掲げている。
前例が少ないためハードルが高かった
サーキュラーエコノミーの概念を自治体の政策に取り入れたサーキュラーシティへの移行を推進するためには、自治体内の部門間連携や産官学民の共創が不可欠だ。ただ、前例が少ないため取り組み推進には高いハードルがあると考えられている。
そこで、これまでサーキュラーエコノミーメディア「Circular Economy Hub」や神奈川県・横浜市におけるサーキュラーシティ推進プラットフォーム「Circular Yokohama」などを通じてさまざまな事業者および自治体と協働してきたハーチが、これまでの知見と経験を活かし、三井住友信託銀行との連携により本ガイドの発行に至った。
サーキュラーシティ移行ガイド(循環都市移行ガイド)とは
本ガイドは、サーキュラーシティへの移行に向けた自治体や地域の課題を解決に向けて、サーキュラーシティへの移行を10のプロセスに分け、具体的な事例を交えながら地域ごとの特性に応じた移行プロセスを解説している。日本国内の複数の事例を掲載しており、自治体職員や首長、地域の事業者が実践に向けて参考にできる内容となっているそうだ。
本ガイドは慶應義塾大学COI-NEXT「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」の協力を得て制作された。今回発行するガイドは初版であり、引き続き自治体の皆様からのフィードバックをもとに継続的に内容の更新を重ねていく予定だという。
また、今後ハーチでは三井住友信託銀行と連携し、自治体や地域の事業者がサーキュラーシティへの移行を実現するためのサポートを提供していくとした。