島根県隠岐郡海士町の海士町役場は9月6日、ふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディング(GCF)で、「崎村だんじり」の実施を目的としたプロジェクトを開始した。募集期間は11月2日までで、目標寄付金額は200万円だ。
崎村だんじりは約200年以上の歴史を持つ崎村の伝統行事。正式には「恵美須祭の風流〔だんじり〕」と言う。北前船が盛んに隠岐海峡を航海した当時の乗組員が西ノ宮の「えびす祭りだんじり」を見て感動し、「崎村十日えびす祭り」でもこれをやりたいということになり始めたものと言われている。海士町の指定無形民俗文化財にも指定されている。
崎村だんじりでは、地元の小学生4名を屋台(だんじり)に縛り付け、約45人の青壮年が担いで左右に傾けながら練り歩く。子供が乗っているだんじりの揺れはかなり激しいことから、漁師の多い崎地区では昔から、「だんじりを経験することが荒波に負けない一人前の漁師になる登竜門」と考えられていた。
しかし、ここ数年は新型コロナウイルス等による影響で、これまで幾度となく開催中止されていた。そのため、崎村だんじりがこのまま実施されなければ、継承されることなくお祭り自体が消滅してしまう危機に直面していた。最後に開催したのは2016年だった。
崎村だんじりには、地元の住民だけでなく漁師や移住者など、さまざまな人が集まる。お祭りに参加することで、この祭りが島の魅力を再発見し、第二の故郷となるきっかけにもなる。島全体をとおした豊かな暮らしを続け、感謝するためにも、崎村だんじりを実施したい。
崎村だんじりはことし8年ぶりに復活することが決まった。今回クラウドファンディングを実施し、支援で募った寄付金は、担い手や神の子の衣類・履物代やだんじりの飾り付け経費、練習用の経費、記録用のビデオ撮影などに使われる。