大日本印刷株式会社は10月23日、東京都品川区が運用中の不登校の児童・生徒を支援する3Dメタバースにおいて、オンライン学習と国際交流イベントの提供を開始すると発表した。個別学習支援の経験が豊富なオンライン支援員が5教科・週20コマの授業をするほか、オンラインで海外の児童・生徒と交流するイベントも実施し、学習と体験の機会を増やすという。
品川区は2024年度から、東京都の不登校支援事業である3Dメタバースを使った「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム(VLP)」に参画している。このメタバースの環境を提供している大日本印刷と品川区は今回、不登校の児童・生徒の学習と体験の支援を強化し、居場所づくりと学習サポートの充実を目指していく。
799人の不登校の児童・生徒
大日本印刷のプレスリリースによれば、品川区の2023年度の公立学校には799人の不登校の児童や生徒がいるという。こうした児童・生徒の学習・体験を支援するため、同区は2024年5月にVLPの運用を開始しており、今回追加したオンライン授業と国際交流イベントの参加者も本格的に募っていく方針だ。
オンライン授業では、教材として、株式会社城南進学研究社の「デキタス」が提供される。児童・生徒は、自身の学習の進度に合わせて授業を選択でき、違う学年の授業にも参加できることが特長だ。また、児童・生徒が自分に合った学びを見つけ、学習意欲を向上させていくきっかけ作りにもなるという。
また今回本格導入となる国際交流イベントは、アジアを中心とした世界各国の地域の学校とつながり、異文化に触れる体験を提供していく。このイベントには株式会社With The Worldが協力している。外出が難しい児童や生徒が安心できる環境を提供し、世界中に人々とコミュニケーションを取れる機会の構築を目指す。
これまでの各種報道でも報じられたように、教育現場においては不登校の児童や生徒が増加しているとされる。スマートシティやデジタル田園都市国家構想などでも“「誰一人取り残されない」社会の実現”を掲げていることもあり、大日本印刷と品川区の取り組みのような、何かしら事情があって学校に投稿することが難しい児童や生徒に向けた取り組みは今後も盛んになっていきそうだ。