横浜市、グリーン社会実現に向け「STYLE100」を始動 地球にやさしい横浜スタジアムなどの事例が公開

STYLE100
プロジェクト始動にともない会見が実施された(写真は筆者撮影)
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横浜市は12月5日、新たなグリーン社会実現に向けたアクション発見・創出プロジェクト「地球1個分で暮らそう STYLE100(スタイルひゃく)」を始動した。

同市では、グリーンイノベーションによる持続可能かつ魅力的な新しい社会の実現に向けて、市民や企業・団体と手を取りながら、脱炭素をはじめ、生物多様性の保全、資源循環等、環境施策に取り組んでいる。この取り組みをさらに広げるため、地球にやさしい未来の暮らしをつくる横浜の人や活動を紹介し、賛同者・参画者を増やしながら、新たなグリーン社会の実現を市民や企業・団体の方とともに推進することを目的とした新プロジェクト「地球1個分で暮らそう STYLE100」を立ち上げた。

目次

山中市長「地球1個分の暮らしこそがサスティナブルな社会である」

本プロジェクトの始動にともない、横浜市役所で記者会見が開催された。会見では横浜市長・山中竹春氏が本プロジェクトの概要について紹介した。

「横浜市は、地球1個分の暮らしこそがサスティナブルな社会であると考えています。

現在、横浜市は、市民や企業の皆様とともに、グリーン社会、サスティナブルな社会の実現に向けた活動を加速させています。地球温暖化を食い止めるためには、企業と市民の皆様の活動が不可欠です。環境に優しい暮らし、新たなグリーン社会の実現は、行政の力だけでは達成できません。横浜に関わるすべての人が、それぞれのスタイルでグリーン社会の実現に向けて取り組むことが重要です。

『地球1個分で暮らそう STYLE100』は、これからの横浜、そして日本に必要な生活スタイルを発信していきます。これまでに横浜市が取り組んできた、そしてこれからも取り組んでいく多くのプロジェクトのなかから、市民や企業・団体の皆様とともに行ってきた事例を、この『STYLE100』としてご紹介していきます。目指すのは、市民・企業・団体の皆様の行動変容です。グリーンな社会、サスティナブルな社会の実現には、行動変容が不可欠です。この『スタイル100』を横浜から日本へ、そして世界へ発信していきたいと考えています」

▲ 横浜市長 山中竹春氏

地球にやさしい「横浜スタジアム」などの活動がお披露目

各取り組みは、STYLE100公式サイト同公式Instagramで発信されている。会見ではすでに活動しているSTYLE100での実施事例が、取り組んでいる企業や団体等によって紹介された。

地球にやさしいハマスタをつくろう。

▲ 株式会社横浜スタジアム 代表取締役社長 藤井謙宗氏

「1998年にベイスターズが日本一になった時の横浜の8月の平均気温は34.4℃でしたが、2024年8月は36.4℃と、2℃も上昇しています。野球観戦には多くのお客様が来場されますが、それにともない、さまざまなゴミが発生します。私たちは、これらのゴミを適切に分別し、再資源化を進め、焼却量を削減する取り組みをプロジェクトとして開始しました。

堅苦しい活動ではなく、楽しく観戦しながらゴミを減らし、資源化を進め、食品ロスを削減する取り組みです。これまでは、プラスチックのカップや燃えるゴミなど、球場ではまとめて回収していました。10月には、横浜市と連携し、燃えるゴミとプラスチックゴミを分別して回収する取り組みを行いました。また、来場されたお客様にも分別回収への協力を呼びかけました。お客様がゴミ袋に入れるゴミを、スタッフがお声掛けして分別してもらうという取り組みです。地球環境を守り、より良い環境を次世代に残していくために、活動を続けていきます」(藤井氏)

ロッカー型自販機で、食品ロスをなくそう。

▲ 株式会社アルファロッカーシステム 代表取締役社長 和田寿成氏

「アルファロッカーシステムでは、『おいしいがもったいない』をキャッチフレーズに、フードロス、食品ロス削減に取り組んでいます。たとえば、関内駅に設置した自動販売機では、近隣のパン屋さんが当日中に売り切れなかったパンを、閉店後に販売しています。これまでパン屋さんでは売れ残った商品は閉店後に廃棄せざるを得なかったのですが、弊社のロッカー型自販機を活用することで食品ロスを最小限に抑えることが可能になります。

今後は、規格外の野菜も販売していくことを検討しています。規格外の野菜は、どうしても売れ残って廃棄されてしまうことが多いので、食品ロスを削減するための仕組みとしても、非常に有効だと思います」(和田氏)

子どもの好奇心で自然を調査しよう。

▲ 横浜市立鴨志田第一小学校 5年生児童のみなさん

横浜市では、2011年に「生物多様性横浜行動計画」を策定し、市民や活動団体が行う生き物調査との連携を推進している。広大な横浜市全域で調査を行うための工夫として、この取り組みが始まった。

「子ども『いきいき』生き物調査」では、市内小学生が過去1年間に自宅や学校の近くで見つけた生き物を調査票に記入する。横浜市みどり環境局 環境科学研究所が調査票を収集し、小学生が生き物を見つけた割合(確認率)をまとめ、報告書として公開している。毎年1万人以上が参加し、これまで11回の調査で、延べ12万人以上の小学生が参加した。

今年度の調査結果ではいくつかの注目ポイントがあったそうだ。まずツバメの巣について。2013年には77%の小学生が確認していたが、今年は69%に減少した。また、外来種であるアメリカザリガニも、2013年の44%から27%に大きく減少している。一方でシラサギは確認率が増加していることがわかった。

この結果について山中市長は「今回のような身近な変化は、調査対象の数が多いからこそ、信頼できるデータとして捉えることができる。シラサギの増加は、市民の皆様と取り組んできた河川や公園の池の環境改善が効果を発揮した可能性がある」と喜びの声を伝えた。

この会見に登壇した横浜市立鴨志田第一小学校 5年生児童のみなさんからのコメントは以下のとおり。

「横浜にはたくさんの生き物や緑があります。大人になっても、この自然を守っていきたいと思いました」
「いつも遊んでいる公園の自然について、改めて考えるようになりました」
「家の周りにも、たくさんの生き物がいることに気づきました」

横浜の都市農業を世界に広げよう!

▲ JICA「南アフリカ 市場志向型農業振興」研修 関係者のみなさん

「JICAでは、2006年から、主にアフリカ諸国を中心に、農家の営農スキル向上と所得向上を目指したプロジェクトを実施しています。現在は、中南米、中東、アジア諸国を含む、世界60カ国以上で展開しています。このプログラムの特徴は、農家さんが作ってから販売先を探すのではなく、市場や消費者のニーズを把握した上で、何を生産するかを決定するという点です。意識改革を通して、所得向上を目指しています。

横浜市は、生産者と消費者の距離が非常に近く、都市農業の先進地として、世界から注目を集めています。これまでに、メキシコ、アルゼンチン、グアテマラ、ガーナなど、約20か国から120名以上の研修員を受け入れました。横浜から、世界へ豊かな農業文化が広がっています。今年も、南アフリカから20名の研修員が来日し、熱心に学んでいます」

この研修に参加した研修員代表のネングザ・ムディシャヴェラフィ・シドニー氏は「横浜の農家の方々は、限られたスペースを最大限に活用し、非常に効率的に農業を行っていることに感銘を受けました。時間管理も徹底されており、横浜の街の美しさにも感動しました」とコメントした。

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