環境問題への新たなアプローチとして、石塚硝子株式会社(愛知県岩倉市)が金城学院大学(名古屋市)と産学連携協定を結び、使用済み太陽光パネルガラスのアップサイクルを目指す「solaGlass(ソラグラス)プロジェクト」を進めています。本プロジェクトでは、リサイクルガラスを活用した新たな試作品が完成し、持続可能な社会への貢献が期待されています。
地域企業と大学の協力で実現したリサイクルガラス製品
本プロジェクトでは、「あいちサーキュラーエコノミー推進プロジェクトチーム」に参画するリサイクル企業4社(加山興業株式会社、リサイクルテック・ジャパン株式会社、株式会社浜田、中電ソザイテラス合同会社)から提供された太陽光パネルのリサイクルガラスを活用。多様な設備と手法で処理されたガラス材を活かし、高品質な再生ガラス製品の製造が可能であることを証明しました。
学生の創造力を活かした「solaGlass」プロジェクト
金城学院大学 生活環境学部 環境デザイン学科の弓立ゼミの学生10名が参加し、ガラスの機能性や成形性を踏まえたデザインの検討を重ねました。その結果、5つのコンセプトデザインを創出し、石塚硝子グループの北洋硝子株式会社(青森県青森市)にて試作品の制作が実現しました。
プロジェクト名「solaGlass」は「solar(太陽光)」と「Glass(ガラス)」を組み合わせたもので、太陽光パネルのリサイクルガラスを活用する意義を表しています。環境問題への意識向上とともに、資源循環型のものづくりを推進する狙いがあります。
環境負荷の低減と循環型社会への貢献
環境省の報告によると、2035年には約35万トン、2042年には約47万トンもの太陽光パネル廃棄が見込まれています。この課題に対し、石塚硝子は2023年12月に太陽光パネルガラスを食器製造に活用する実証試験を実施し、リサイクルによる廃棄物削減とサーキュラーエコノミーへの貢献を目指しています。
今後の展開と研究成果の発信
本試作品は、あいちサーキュラーエコノミー推進プロジェクトチーム内で共有されるほか、2025年2月22日(土)に開催される日本デザイン学会 第3支部 2024年度研究発表会で報告される予定です。
取り組みのポイント
- 産学連携による新たな価値創造
- 金城学院大学との協力で、若者の視点を取り入れた斬新なデザインを開発。
- 地域企業が提供するリサイクルガラスを活用し、循環型経済の構築に貢献。
- 北洋硝子の高度なガラス製造技術を駆使し、高品質な再生ガラス製品を実現。
- 持続可能な社会への貢献
- 太陽光パネル廃棄物の削減と資源の有効活用を推進。
- ガラス製造におけるCO2排出量の低減に貢献。
- SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策」を支援。
今回のプロジェクトを通じて、地域の産学連携が生み出す新たな可能性が示されました。今後もリサイクルガラスの活用を広げ、持続可能な社会の実現に向けたさらなる発展が期待されます。