医師に特化した人材サービス「レバウェル医師」を運営するレバレジーズメディカルケア株式会社が、勤務医864名を対象に「医師の働き方改革」施行以降の就業実態に関する調査を実施した。調査では、医師の働き方や移住に関する意識が浮き彫りとなり、特に「収入の増加」が移住の決め手になることが明らかになった。
医師の働き方改革で約3割が労働時間減少を実感
2024年4月に施行された「医師の働き方改革」による労働時間への影響について、回答者の29.7%が「労働時間が減少した」と感じていることが分かった。一方で、週50時間以上勤務している医師は35.2%、週60時間以上勤務している医師は18.4%と、依然として長時間労働が常態化している状況も明らかになった。


さらに、「宿日直勤務」に関する調査では、42.2%の医師が「週8時間以上」の待機時間があると回答。加えて、「宿日直許可」を取得している医療機関に勤務する医師の23.8%が「日勤帯と同等の業務がある」と答えており、労働時間規制の適用外となる制度の実態と労働環境の乖離が指摘された。


賃金の減少を実感した医師は約20%、時間外手当の減少が主因
「医師の働き方改革」による賃金変動について尋ねたところ、76.2%が「変わらない」と回答。しかし19.4%が「減少した」と回答し、その主な理由として「時間外勤務の削減による時間外手当の減少」が挙げられた。また、一部の医師からは「勤務先の経営状態悪化」や「副業制限」による収入減少の声もあがった。

医師の約7割が条件付きで移住を検討、最も重視するのは「収入の増加」
医師が移住を検討する際に最も重視する条件として、「収入の増加」が最も多く挙げられた。72.6%の医師が「条件次第では移住を検討する」と回答しており、次いで「ワークライフバランスの向上」「交通利便性の良さ」が重要視されている。


また、「医師偏在指標」を基にした医師の平均年収調査では、
- 医師少数区域:平均年収1,711万円
- 医師中程度区域:平均年収1,649万円
- 医師多数区域:平均年収1,623万円
と、医師が少ない地域ほど収入が高い傾向が確認された。医師不足が深刻な地域では、収入増加を目的とした優遇措置が医師確保の手段として機能していることが示唆される。

今後の展望:医師偏在の解消と労働環境改善がカギ
レバレジーズメディカルケア株式会社の医師人材紹介事業部長・川浪尚文氏は、「医師の働き方改革による労働時間の適正化が進む一方で、収入減少という課題が生じている。また、医師偏在問題の解決には、収入増加を含めた経済的インセンティブの導入が重要である」と指摘。医療機関ごとの労働環境改善や待遇見直しが、医師確保と働きやすさの向上に不可欠であると述べた。
本調査は、勤務医を対象にしたインターネット調査で、調査期間は2024年12月10日~12月20日。今後も「レバウェル医師」では、医療現場の課題解決に貢献する取り組みを続けていくとしている。