株式会社キッズラインは2月25日、保育施設で働いた経験を持つ433名に保育施設で働くことの不安についてのアンケート調査の結果を発表した。
本記事ではプレスリリースの内容をそのままお届けする。
調査概要
調査主体:株式会社キッズライン
調査期間:2025年2月11日(火)~2月16日(日)
調査対象:2年以内に保育施設に勤務した経験を持つ方433名
調査方法:インターネット調査
サマリー
- 保育施設勤務経験者の62.6%が勤務継続に不安
- 不安理由は「職場の人手不足・業務負担の増加」が最多
- 41.9%が「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少」を体験
- 保育施設の規模縮小の理由、勤務経験者の43.6%が「少子化」と認識
- 保育の仕事が好きな方へ、新たな選択を!キャリアチェンジ応援キャンペーン開始
保育施設勤務者62.6%が、仕事を続けることへの不安を感じている

今回の調査では、まず「保育施設で働くことに不安を感じたことがあるか」について、2年以内に保育施設で働いた経験を持つ433人(保育士・保育補助を含む)から回答を得ました。このうち、62.6% が仕事を続けることに不安を感じたと回答しました。一方で、「あまり感じなかった」は15.9%、「全く感じなかった」は10.2%と、合わせて26.1%に留まりました。
保育施設で働く不安理由は「職場の人手不足・業務負担の増加」が最多

保育施設での仕事継続に不安を感じた主な要因 としては、「職場の人手不足・業務負担の増加」(70.1%)が最も多い結果となりました。また「給与が低く、収入が増えない」(61.6%)「自分の心身の健康が保てない(過労・ストレス)」(56.8%)がそれぞれ5割以上を占め、収入面と精神面の両方で不安を抱えている状況が明らかになりました。加えて「保育施設の上長や経営者と考えが合わない」(37.6%)といった職場環境に関する課題も上位に挙がっています。
特徴的なのは「制度の改正に期待が持てない」(29.5%)や「少子化によって園児が減少していること」(19.2%)、「保育園の閉園・リストラ・契約終了の可能性」(5.9%)といった保育業界を取り巻く変化に関する不安も挙がっている点です。
保育施設勤務者の不安は、労働環境や待遇の問題が主軸でありつつも、少子化などによる保育業界全体の先行き不透明感も一定程度影響していることが示されています。
保育施設に勤務した経験を持つ方の声
- 人手不足が慢性化しており、超勤が当たり前の環境で子どもの人数に対しての職員数も手薄に感じる場面が多かった。また、保護者も多様化しており保育園へのご要望やクレームなどの対応についても日々疲弊していた。(神奈川県/30代女性)
- 責任ある仕事の割に給与が少なく、クラス担任ともなると保育以外の事務作業や計画、保護者対応等の負担も大きい。モチベーションが保てなくなる面もある。(大阪府/40代女性)
- 保育にかかわるニュースがある度に仕事が増え、でも保育士の人数は変わらないという現状でした。仕事が増えているのにお給料が増えることはなく、仕事の時間だけ増えていき、心身ともに疲れが溜まる一方でした。(福岡県/30代女性)
- 職場の人間関係が煩わしくなり、単純に子どもが好きで子どものために働きたいという気持ちよりも、辞めたい気持ちが増してしまった。勤務年数が増すほど、尊敬できる先輩や上司がいなくなり、このまま働き続けることへの不安が増した。(神奈川県/20代女性)
- 子どもが産める余裕のない生活の家庭や、子どもを産みたいと思う日本でないにも関わらず、制度や国が変わらないのが本当に期待できません。(福岡県/20代女性)
- 少子化の影響、経営方針の変更や見直しでいつ契約を切られるか不安がある。国からの補償が保育士一人一人に行き渡っていないのが現状です。(山梨県/50代女性)
41.9%が「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少」を実際に体験


保育施設勤務経験者に自身の職場で「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少(定員割れ)」を経験したことがあるかを質問したところ、体験者は合わせて41.9% に上ることが明らかになりました。特に、「園児の減少(定員割れ)を経験したことがある」と回答した人は34.4%と最も多く、急激な少子化の影響が既に保育の現場に及び始めている様子がうかがえます。
また、自身の職場以外でこれらの状況を聞いたことがあると回答した保育施設勤務者は71.4% にのぼりました。コロナ禍以降急激に進む少子化により、保育施設勤務者の雇用やキャリア形成にも影響が出始めていることが推察されます。
保育施設の規模縮小の理由、勤務経験者の43.6%が「少子化」と認識

保育施設の「閉園」「クラス数の削減」「園児の減少(定員割れ)」の理由を知っているかと質問したところ、「少子化に伴って子どもの数が減ったから」と回答した人が43.6%と最も多いことが明らかになりました。
また、「必要な保育士の人数が集まらなかった」(21.7%)という理由も2番目に挙げられており、人材不足が運営に影響を与えている現状も浮き彫りになっています。少子化の進行とともに、保育施設の維持・運営が厳しくなりつつあることがわかります。
一方で、「理由はわからない」と回答した人も35.6%おり、閉園やクラス削減の背景が十分に共有されていないケースもあることがうかがえます。
保育施設に勤務した経験を持つ方の声
- 子どもが減っているにも関わらず保育現場の人手不足が一向に解消されない。それは保育士が足りないのではなく、厳しい配置基準や過酷な労働環境、低賃金によるものであると感じています。未来をつくる子ども達により質の良い保育を提供できるように、大きく国の意識が変わる事を望みます。(茨城県/30代女性)
- 子供の数が足りず仕事が減少することが増えると思うので、そのときに1人でベビーシッターのように活動していける力や知識を身につける環境が今の保育士には必要だと思う(千葉県/20代女性)
- 職員の急な退職で年度末に人手が足りないということで、頼まれて短期間限定で子育て支援員の身分で働きましたが、時給が安いなと思いました。保育士が不足しているのを感じます。(奈良県/50代女性)
- 少子化の影響で保育園の数が少なくなると、少ない保育園の中に子どもが沢山いる状況がうまれると思う。年齢が小さい子ほど、少人数で保育士の手厚い保育が必要で、その状況を環境的に整えるのが難しくなることが心配です。(広島県/40代女性)
- 子どもに関わる仕事が少なくなってしまうのではないか。他にもキャリアを積まなくてはいけないのかな。と、どう生きていこうか、考えます。(東京都/50代女性)
- 少子化でも預ける人は沢山いるので、保育士不足の方が深刻。遊んでいると思われるが、実は体力的にも、命を守ると言う気持ちで毎日やっているので非常に疲れる仕事。(長野県/40代女性)
- 昔と違って子供の居る家庭への補助が手厚くなってはいるものの、まだまだ足りない気がします。もっと安心して子供を育てられる状況を作ってほしい。(秋田県/50代女性)
保育に関わる方が安心して自分に合った働き方を選べる環境を
保育業界における課題は、少子化による保育施設の縮小や、働き手不足による業務負担の増加など多岐にわたります。その中で忘れてはいけないのは、保育に従事する方のキャリアパスを広げること、一人一人が柔軟な働き方を選択できることです。
共働きが主流となり子ども一人一人に寄り添った保育ニーズが求められる昨今、保育施設勤務経験者のスキルは、家庭での個別保育(ベビーシッター)において、高く評価されています。保育の現場で働いた経験は依頼者に大きな安心感を与えるものであり、「ベビーシッター」は保育スキルを活かして働きたい方の新たな活躍の場となります。
また、個別保育(ベビーシッター)には「企業型ベビーシッター割引券」や「東京都ベビーシッター利用支援事業」など公的補助が導入されており、家庭内の育児支援の役割が期待されています。
この動きは年々加速しており、各自治体の令和7年度予算案では、新たな助成が次々と発表されています。「東京都ベビーシッター利用支援事業」では新たに大田区や墨田区、立川市などが導入を予定し、奈良県では「奈良県ベビーシッター利用支援事業」、青森県では「あおもりキッズシッター利用支援事業」が来年度予算案に組み込まれています。
このように、家庭内で保育スキルが求められていること、各自治体が個別保育への助成を拡充していることから、「ベビーシッター」の需要は今後一層需要が伸びると想定されています。
保育施設勤務と個別保育(ベビーシッター)との違いは、働く方が自分で自由に時間を設定でき、自分で時給を設定できるという自由度にあります。長時間勤務や職場での人間関係といった不安を抱えることなく、少人数の子どもにじっくり向き合うことができるため、子ども一人一人に寄り添った丁寧な保育を行うことができます。
私たちキッズラインは、保育に従事する方々が自分に合った働き方(希望の時間や時給など)を選べる選択肢を用意することで、保育の仕事が好きな方が安心して「保育」という仕事を続けられる環境作りを整えてまいります。