EVスタートアップの支援・育成を手がける株式会社ツクリエの子会社、EV SYSTEM株式会社は、2024年12月にアフリカ・ブルキナファソにおいて国内初となるEVバイクの提供を実施した。これは、同社が発展途上国向けに展開するプロジェクト「EVフリート」の一環として行われたもので、環境課題やエネルギー供給の不安を抱える現地に新たな移動インフラを提供する取り組みだ。
今回納品された5台のEVバイクは、同国初の導入例となり、大きな注目を集めている。
排ガス・燃料不足の深刻なブルキナファソに、持続可能なモビリティを
西アフリカに位置するブルキナファソでは、自動車よりもバイクの数が多く、大量の排ガスや粉塵による大気汚染が深刻な社会問題となっている。また、都市部では燃料不足も顕著で、持続可能かつ経済的な交通手段の導入が急務とされていた。
このような背景のもと、EV SYSTEMは現地法人「EVS BURKINA FASO株式会社」を通じて、タイ製のEVバイク5台を提供。現地での初導入により、CO₂排出量削減、燃料依存からの脱却、そして新たなモビリティインフラの構築を支援している。
大学・教育施設での導入で、若者と地域に変化を
導入されたEVバイクのうち、3台は国内最大級の私立大学「University Aube Nouvelle(オーブ・ヌーヴェル大学)」に納品。キャンパス内の移動や学生間のシェア利用を通じ、環境意識の醸成と実用性の両立を実現している。
同大学では、構内に設置されたソーラーパネルからの再生可能エネルギーを活用してEVバイクを充電しており、エネルギーの地産地消モデルも実現。教育現場における環境対策の先進事例として注目されている。
さらに残りの2台は、Dedougou市にある教育複合施設「Complexe Scolaire du Creuset d’Eveil」で活用。1台は施設内のパン製造部門において配達用として、もう1台は教員の移動手段として利用されている。こちらも施設内のソーラーパネルで充電され、持続可能な運用が行われている。
現地スタッフによる運用体制で、雇用創出にも貢献
納品されたEVバイクのメンテナンスや利用サポートは、現地スタッフが対応しており、単なる製品提供にとどまらず、現地雇用や人材育成にも寄与している。これは、EV SYSTEMが掲げる「支援型EVインフラ」の理念に基づくもので、地域に根ざした持続可能なモデル構築を目指している。
「EVフリート」で切り拓く、グローバル・ローカルの両立
EV SYSTEMが推進する「EVフリート」とは、車両・バッテリー・充電スタンドなどを一元的に管理・最適化するシステムであり、再生可能エネルギーの活用や電力需給バランスの可視化など、インフラとしてのEV導入を可能にする次世代の取り組みだ。
ブルキナファソでの導入実績は、その可能性を示す一歩であり、今後は他国・他地域への展開も視野に入れている。
スタートアップが創る新たな価値、ツクリエの支援のもと広がる
EV SYSTEM株式会社は、2023年に設立されたばかりの若いスタートアップながら、ツクリエの支援のもと社会課題解決型のイノベーションを実践。今後もアフリカをはじめとする発展途上国でのパイロットプロジェクトを通じて、社会に必要とされるEVモデルの開発と実装を進めていく方針だ。
「移動の自由が、未来を変える」。EVバイクは今、都市と環境、そして人々の暮らしを繋ぎ直す鍵となりつつある。