過疎化とは 地域が過疎になる原因と国の対策をまとめて紹介

過疎化
  • URLをコピーしました!

東京圏への人口一極集中と少子高齢化が進んだ先にあるのは、過疎地域の出現と衰退、そして消滅です。

その地域の人口が減ると、自治体が財政難に陥り、住民へのサービス提供が難しくなります。結果的に住民は快適に暮らせなくなり、より過疎化が進む悪循環になってしまいます。

この記事では「過疎化」について焦点を当て、過疎化に対して何をやるべきか解説します。

目次

そもそも「過疎化」とは

過疎化とは、人口が減少したことで、地域社会の機能が低下し、住民が一定の生活水準を維持することが困難になった状態が進行していることを指します。その状態が進んだ地域を「過疎地域」と言います。

国勢調査による期間ごとの人口減少率が一定以上であり、財政力指数が一定以下だと「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」が適応されます。要するに、この特措法が対象となる地域が過疎地域です。

過疎地域への特措法は、当該地域の自立促進を目的とし、住民福祉の向上や雇用の増加、地域格差の是正などを図ります。

ひとえに過疎といっても、全部過疎、みなし過疎(過疎地域とみなされる市町村)、一部過疎(過疎地域とみなされる区域のある市町村)と種類が分けられています。日本の市町村数は合計で1,718箇所ありますが、そのうち上記のいずれかの過疎と判定されているのは、885箇所。これは全体の51.5%で、日本の市町村の半分以上が“過疎”なのです(令和4年のデータ)。

言い換えれば、日本の半分以上の市町村が財政難に陥り、ゆくゆくは消滅する可能性がある、というわけです。

過疎化する原因

過疎化が起きるのには理由があります。まず第一に人口が減るから、ということが挙げられますが

それ以外にも要因が存在しています。

産業や事業の変革

経済が発展・発達していくにつれて、時代ごとに注目される産業が変化しています。わかりやすい例は、農林水産業です。

日本も以前は農業や水産業が盛んだったものの、近年では主たる産業が変わっています。農林水産業は現在では担い手不足という状況にもなり、農業においては「耕作放棄地」も増えていると言われています。
※耕作放棄地:以前は農地として使用されていたものの、過去1年以内に作物を生産しておらず、数年の間に再び耕作をする予定のない田畑

現在の主たる産業はサービス業やIT・デジタルなどの情報系の産業です。当然、主たる産業のほうがお金を多く得ることもでき、なおかつ安定性も高くなりやすいです。その結果、これらの新しい産業を取り扱う場所や土地、地域に人が集まるため、農林水産業が盛んな土地の人口が減ってしまいます。

生活や交通インフラ

当たり前ではあるものの、その土地が住みやすいかどうかで過疎化するかどうかが変わります。主に生活や交通に関するインフラが整備されているかどうかです。

とくに、交通インフラについては、買い物難民の発生にもつながるため、解決するべき課題です。しかし、生活や交通インフラは、そこに住む人、利用する人が多ければ整備されるというのが常です。そのため、いたちごっこのような展開に陥ることもあります。

都心へのあこがれ

地方から東京など都市部への転入が多いのは、“あこがれ”が理由となっている場合がほとんどです。このあこがれというのは、単なる「東京がかっこいい」という話ではなく、商業施設が揃っている、学校(大学など)がある、職場(雇用)があるといったさまざまな要素が複合されています。

また、子育て世帯からしても、子どもに対して選択肢は増やしてあげたいと考えることもあり、そうなると都心へのあこがれを抱くことになります。

いうなれば、魅力の格差が発生している、という状況です。

国としての過疎地域への対策は?

過疎地域への対策は、地方自治体はもちろん、国からもさまざまな支援や施策が打ち出されています。

地域おこし協力隊

都市部から過疎地域に「住民票」を異動し、一定期間その地域に住みながら「地域協力活動」を通して定住や定着を図る取り組みです。地域おこし協力隊員の活動経費として、ひとりあたり最大480万円がもらえます。

特措法による支援

政府系金融機関等による資金確保や、所得税・法人税に係る減価償却の特例などをはじめ、持続的な経済圏の確立と自立を図る支援です。

過疎地域を復活させるためには

つまるところ、過疎地域に人を定着させるには、「仕事」を作る以上のことはないとされています。

いくら「まちおこし」的なイベントや催しを開催したとしても、定期的に実施しなければ定着や定住することにはつながりません。また、「自然あふれる住みやすい街」と謳ったところで、結局はお金を稼げなければ生きていくことは難しいです。

裏を返せば、雇用や労働できる環境を生み出せれば、そこでお金を稼ぐ人が増え、その地域でお金を使う人が増え、結果的に行政の財政も潤うという好循環を作れます。

とはいえ、地域ごとに雇用を創出するのは至難の業なのも事実です。ただ、物価高騰による輸入品の値上がりによって、食料品などは徐々に国産のほうが安くなっていく可能性があります。そうなれば、一次産業である農林水産業は急速に盛り上がりを見せるかもしれません。

農林水産業が注目を集めれば、一気に国内の各種地域の田畑(なかでも耕作放棄地)や漁村などに人が集まるのではないでしょうか。

いくら過疎地域だからといって、その地域が生まれ育った故郷である人もいるので、消滅をさせていい場所はないと言えます。ただ、過疎地域への特措法などもあるものの、有限であることは忘れてはいけません。

明確な解決策はまだまだ見つかっていませんが、何らかの解決策はテクノロジーを駆使して対応していかなければなりません。たとえば、広大な土地にデータセンターを配置するといった取り組みは、多くの雇用を生み出す糸口になりえます。

過疎化

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次