株式会社スポーツオアシスは10月10日、福岡市と共働して実施した「バランスボールを活用した転倒災害予防実証実験」の効果検証結果を発表した。日常的にバランスボールに座り、定期的にエクササイズを実践することで、下肢筋力、バランス能力、敏捷性の向上が確認され、転倒リスクの低減にも有意な成果が得られたという。
50代以上で転倒災害が急増する傾向
厚生労働省「第14次労働災害防止計画」によれば、労働災害の中でも転倒による労働災害が最も多く、近年その件数も増加傾向にあるそうだ。また、年齢別の発生状況においても、50代以上で転倒災害が急増する傾向にあり、労働者の高齢化が進む中で、職場での転倒災害の防止は喫緊の課題と言える。
厚生労働省と消費者庁は、日本転倒予防学会が制定した10月10日の「転倒予防の日」を契機に国民に向けて、転倒予防の取組の実施を呼びかけていた。
福岡市職員においても、45歳位から公務上の災害が増加傾向にあり、主な原因が転倒によるケガとなっていることから、福岡市職員を対象とした「バランスボールを活用した転倒災害予防」に関する実証実験に至った。
実証実験の概要
目的
バランスボールを活用した転倒予防プログラムを実施することで、転倒災害予防に資する能力(筋力、バランス能力等)の向上効果を検証する。
実施内容
福岡市職員が3か月間オアシスのバランスボールを事務椅子代わりに業務中に使用し、休憩時間等にルネサンスが提供したバランスボールエクササイズを約3か月間実施。
期間
2024年5月13日~8月25日(約3か月)
対象者
福岡市職員で、日常的に運動習慣がない40歳以上の職員100名
※平均年齢52.0歳
評価方法
- 片足立ち上がりテスト:下肢筋力、バランス能力を評価するテスト
- 座位ステッピングテスト:敏捷性を評価するテスト
- 2ステップテスト:筋力、バランス能力、柔軟性等方向能力を評価するテスト
- 質問紙によるアンケート調査(転倒・つまずき経験・腰痛、肩こり、膝痛の痛みについて)
転倒リスクの低減にも有意な成果が得られた
日常的にバランスボールに座りエクササイズを実践することで、下肢筋力、バランス能力、敏捷性の向上が確認されたそうだ。また、転倒リスクの低減にも有意な成果が得られたともしている。
以下の図は片足立ち上がりテスト、座位ステッピングテスト、2ステップテストにおいて有意差が認められた図だ。
「腰痛などの気になる痛みが軽減した」の声
実施後のアンケートでは、実験前に「1か月間でつまずいた」と回答した方の割合が60.9%であったのに対し、実験後には32.6%にまで減少したという。
さらに「1か月間で転倒した」方は0名という結果が得られたそうだ。また、腰痛・肩こり・膝痛に関しても、痛みの改善が見られる傾向が確認された。
参加者からは「姿勢がよくなった」「腰痛などの気になる痛みが軽減した」などの声も挙がった。