ニワトリを起点に地域の未利用資源を循環 平飼い養鶏モデルによって産まれた「有精卵」25年1月から販売開始

セリフ
  • URLをコピーしました!

合同会社セリフでは、2024年11月8日に400㎡弱の木造鶏舎を建築し、後藤もみじ640羽による平飼い養鶏事業を開始している。11月15日には、2024年12月頃から有精卵を産み始め、2025年1月からの全国販売を開始すると発表した。

たまごは日産500個程度を予定。岡山県西粟倉村内の道の駅やショップで販売予定で、そのほかにもECサイト等による販路も模索中とのこと。

目次

未利用資源が循環する農業を実践

セリフが目指すのは、鶏が介在することで未利用資源が循環する地域社会の構築だ。

調理で発生する野菜くず、春夏の草刈りで切り捨てられた雑草、出荷できなかった規格外の米や野菜、そしてコイン精米機に溜まった米糠。これらはすべて鶏の餌になるという。ごみとして捨てていたものが鶏の餌となり、餌を食べた鶏が味わい深いたまごを産む。鶏糞は米や野菜を生産する田畑の肥やしとなる。平飼い養鶏を起点に地域の未利用資源が循環する農業を実践する。

資源循環型の平飼い養鶏で実現することは主に以下の5点だそうだ。

  • 生産性の低い山田・棚田等の耕作放棄地の再生
  • 集約化がしにくい中山間地での稼げる農業モデルの確立
  • 地域の未利用資源を飼料化し、ごみを減らす農業の実践
  • 青草の飼料化による草刈りのビジネス化
  • 資源循環型の小規模平飼い養鶏の他地域展開

季節で風味が変わる平飼い有精卵を販売

▲ 地域で生産される米や麦を中心とした100%国産自家配合発酵飼料

生産するたまごは有精卵だ。たまごを産まない雄も飼育することで自然交配が発生する。味はあっさりしていますがゆたかな香りとやさしいコクがつまっているのが特徴。

たまごの色は鶏が食べたもので決まるという。

米や緑餌をたくさん与えるので黄身の色はオレンジ色ではなくレモンイエロー色。卵の色調整のためだけに余計なものは食べさせない。また、季節や旬によって飼料の内容や割合が変わるため、たまごの風味も異なるそうだ。

与える餌は自家配合の発酵飼料だ。地元産の米や麦を中心に、米糠、生おから等を配合している。飼料を発酵させることで鶏の体内環境を整え、消化吸収を良くする効果があるという。

鶏本来の生態に寄り添える低密度の平飼いに取り組む

▲ 鶏種は赤玉を産む純国産鶏・後藤もみじ

鶏本来の生態に寄り添って平飼いに取り組むのもポイントのひとつ。

1㎡あたり2羽を基準としており、一般的なケージ飼育の5分の1以下の密度だそうだ。そして、1群を200羽程度に抑えることで1羽1羽の鶏の健康状態を把握できるように努めている。

また、鶏舎内の敷料として籾殻と木屑をたっぷりと敷き詰め、糞が乾き匂いを抑えるように工夫も凝らされている。敷料は、農家や材木業を営む方からもらった地域の未利用資源だそうだ。もちろん、糞と敷料は堆肥化し田畑に利用される。

木造鶏舎は間伐材を活用 土木から大工まで村内事業者

▲ 構造材は村内で伐り出されたスギやヒノキの間伐材を使用

400㎡弱の木造鶏舎は西粟倉村の間伐材を活用して建築した。土木業者、素材生産業者、製材業者、大工とすべてが村内事業者によって建てられた。

あえて構造材に必要以上の品質は求めなかった。規格流通する木材のモジュール(12cm角・天然乾燥ヒノキ柱等)や汎用的な建築資材を採用した。その理由は、ほかの地域でもローコストかつ短納期で建築しやすくするためだ。

2028年までに鶏舎6棟3000羽飼育の事業拡大を予定

この事業は2024年11月に鶏舎1棟640羽飼育で始まった。2025年中には、同区画で鶏舎2棟を建築し1400羽の飼育体制を構築する。そして2028年までに鶏舎6棟3000羽飼育の事業拡大を予定してる。

それだけでなく、最小クラスの自治体規模である人口1300人の西粟倉村での事例を皮切りにほかの地域展開に取り組み、地域の未利用資源を飼料化する資源循環型の小規模平飼い養鶏モデルの普及も目指している。

セリフ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次