金沢工業大学航空システム工学科の赤坂剛史研究室が12月10日に、大型ドローンによる初の飛行試験を実施した。場所は手取川河川敷にある白山ラジコンクラブのラジコン飛行場。
この大型ドローンの開発は、赤坂研究室が大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム 「R6年度 TeSH GAPファンドプログラム」 ステップ1に採択されて取り組む「最大積載量50kg・飛行距離50km超のVTOL型有翼電動ドローンの事業」の一環として進められている。
能登半島地震では、被災地の港が隆起したため、救援物資輸送船が接岸できないという課題が浮き彫りになった。この課題を解決するために、大型ドローンの開発に取り組んだ。飛行距離の目標は50キロメートルだ。
飛行試験当日は「最大積載量50kg」を実現するうえで、事前に技術的な検討をするために試作された機体を使用した。横幅2.5m×奥行き1.5mでプロペラは8つ。機体はバッテリーを8個搭載。ドローンの総重量は約90kgにもなった。
ドローンを大型にすれば、機体の振動が問題になる。そこで飛行試験では、「まずどの程度振動が生じるか」を検証した。積載なしでは、浮上およびホバリング時に特に大きな振動がなかった。おもり20kg積載とおもり40kg積載で浮き上がるか実験した結果、見事浮上したそうだ。
積載量50kgでの実験をしようと試みたところで、実験当日は雨風がひどくなりあえなく中断。しかし、同研究室では「初飛行としては十分な成果を収めました」とし、非常に前向きな様子だ。赤坂研究室では今回の飛行試験で得られたデータをもとに、固定翼をつけた試作機の開発を進め、25年3月初め頃の飛行試験を予定している。
ドローンによる救援物資の輸送が実用化されれば、これまで支援が困難だった地域への救援活動も迅速になる。もちろん震災などでも活躍すると思うが、山間地域などで買い物が困難な家庭等への助けにもなりそうだ。大型ドローンを活用しようとさまざまな企業や研究機関が日々努力している。こうした取り組みは、未来の私たちにとっても大きなプラスになるので今後もチェックしていきたい。