KPMGモビリティ研究所は12月20日、スマートシティに関する住民の意識調査をまとめたレポート「スマートシティ 2024年版 わが国の主要5都市における意識調査~住みやすい街づくりのためにできること」を発表した。レポート全文は同研究所のページからダウンロードできる。
本稿では、KPMGモビリティ研究所が発表したプレスリリースの内容をそのままお届けする。なお、本調査は2023年6月に実施されたものだ。
調査概要
調査名:スマートシティ 2024年版 わが国の主要5都市における意識調査
調査手法:インターネット調査
調査対象:東京23区、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市の18歳以上の住民
調査期間:2023年6月
サンプル数:2,601名
調査結果サマリー
- スマートシティという言葉を聞いたことがあると回答した割合は、5都市全体で約58%と過半数を超える。一方、内容も知っていると回答した割合は14%にとどまる。
- スマートシティへの期待は全体的に低下傾向。なかでも、「雇用機会の増加」の下がり幅が大きく、前回比4.6ポイント減少している。
- パーソナルデータを活用すべきであるという回答が50%を超え、スマートシティ推進にあたってのパーソナルデータの活用に肯定的な傾向がみられる。
- スマートシティに関して期待する分野として、期待値の高い順に、「医療・ヘルスケア(54.4%)」「防犯・安心(49.8%)」「防災・減災(49.0%)」が挙げられる。
- 生活の豊かさにつながるサービスとして、スマートシティ関連で話題になっている取組みは「AI防犯カメラ」の回答が49.1%と最多となった。
スマートシティの認知度
スマートシティという言葉を聞いたことがあると回答した割合は、5都市全体で約58%となり、過半数を超えています。しかし、スマートシティという言葉を「聞いたことがあり、内容も知っていた」と回答した割合は14%となっており、スマートシティは「多くの住民は何となく聞いたことがあるが、よくわからない言葉」と認識されていると言えます。
スマートシティへの期待
スマートな都市の発展に期待することについては、「公共サービスの改善(80.0%)」「資源の無駄遣いの削減(77.4%)」「治安の改善(77.0%)」が最も高くなっています。しかし、2020年の前回の調査結果と比較するとスマートシティへの期待は全体的に期待値が低下しています。なかでも、「雇用機会の増加」の下がり幅が大きく、前回比4.6ポイント減少しています。
スマートシティに関して期待する分野としては、「医療・ヘルスケア(54.4%)」を選択した人が最も多く、次いで「防犯・安心(49.8%)」「防災・減災(49.0%)」となっています。「医療・ヘルスケア」への期待度が高い理由は、スマートウォッチでの健康管理等、すでに生活の一部にデータ活用が入り込んでいることなどから、住民が自分の問題として捉えているためと考えられます。また、災害の多い日本らしく「防災・減災」に対する期待も高くなっています。
パーソナルデータの活用
パーソナルデータの活用に関しては、活用範囲にかかわらず「活用すべき※」との回答が50%(「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)を超えており、パーソナルデータの活用に肯定的な傾向がみられます。
生活の豊かさにつながるサービス
生活の豊かさにつながるサービスとしては「AI防犯カメラ」を選択した人が最多で全体の49.1%となっています。他方でさまざまな地域で取り組まれている「グリーンスローモビリティ(7.6%)」や「電動キックボード(5.8%)」「MaaS(5.5%)」の回答割合が10%未満と、モビリティ関連サービスへの関心が低くなっています。
大都市である5都市圏に居住する住民を対象としたものであることから、交通に不便を感じないことなどの理由により、交通に対する取組みへの回答が少ないものと推察されます。また、2023年7月1日より電動キックボードなどに関する改正道路交通法が施行されたものの、乗車経験のある住民がまだ限られることなども生活の豊かさにつながるとは捉えられていない理由と考えられます。