東急不動産株式会社と株式会社東急不動産R&Dセンター、国立大学法人電気通信大学は、ニセコ地域において「雪発電」の社会実証実験を実施しました。この取り組みは、積雪を活用した新たな発電技術を検証し、豪雪地帯のエネルギー自給向上と環境負荷の低減を目指すものです。
目次
雪発電とは?
「雪発電」は、温度差を利用して発電するスターリングエンジンを活用した技術で、高温熱源(太陽熱やバイオマス熱)と低温熱源(雪による冷却不凍液)の温度差を活かして電力を生み出します。この技術の特徴は以下の通りです。
- 豪雪地帯の環境資源を活用:日照時間が短い地域でも安定的な発電が可能。
- 融雪と発電の両立:積雪を活かした発電と同時に、広範囲の融雪にも寄与。
- エネルギー自給の促進:地域内での再生可能エネルギー利用を推進。
実証実験の概要
本実験は、北海道倶知安町の「サスティナブルリゾート形成」の一環として実施されました。昨年度の1.0kW発電能力から7.0kWへ拡大し、1日最大168kWhの電力を発電できるシステムへと改良されました。これは一般家庭約12軒分の電力供給に相当します。
また、今回の実験では、建屋の屋根に積もった雪を融雪し、その融雪水を集水・ろ過するシステムも導入。人力での雪下ろし負担を軽減するだけでなく、融雪水の有効活用を視野に入れた新たな技術検証も行われました。
地域課題解決への貢献
この技術が実用化されれば、次のような地域課題の解決に貢献できると期待されています。
- 豪雪地帯のエネルギー自給向上:化石燃料に依存しない発電システムの確立。
- 地域の水資源活用:融雪水の有効活用による水不足対策。
- 持続可能なまちづくり:倶知安町のゼロカーボン化推進。
今後の展望
今回の実証実験により得られたデータをもとに、さらなる技術改良を進めるとともに、他の豪雪地域への導入可能性を検討していきます。また、東急不動産が進める「Value up NISEKO 2030」プロジェクトの一環として、環境負荷の低減と持続可能なリゾート形成を推進するため、地域と連携したさらなる取り組みが期待されます。
本プロジェクトの詳細は、東急不動産の公式サイトにて確認できます。