一般社団法人子ども・学生VR自由研究大会組織委員会は、2025年3月9日、大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」にて「子ども・学生VR自由研究大会 第3回大阪市大会」を開催した。
今回の大会では、防災をテーマにVRやAIを活用した研究成果の発表が行われ、特に高齢者の「避難関連死」に着目した新たな研究が始動することが発表された。
目次
高齢者の「避難関連死」とは?
災害時に直接的な被害を受けるだけでなく、避難所生活のストレスや疲労、持病の悪化によって命を落とす「避難関連死」が課題となっている。
特に高齢者は避難所の環境変化に対応しづらく、適切なケアが不足することで体調を崩しやすい。東日本大震災では、関連死が全体の死亡者数の約3割を占めたというデータもあり、この問題の解決が求められている。
VR・AIを活用した高齢者支援の新たな取り組み
本大会では、VR・AI技術を活用し、高齢者が安心して避難生活を送ることができる環境づくりを目指す研究が始まることが発表された。
具体的な研究テーマは以下の通り。
① 避難生活のストレスを軽減する癒し映像の開発
- 高齢者がリラックスできるような自然風景や思い出の場所を再現したVR映像の制作
- AIによる音楽やナレーションの最適化
② AI対話システムによる心のケア
- 高齢者が避難生活で孤立しないよう、AIによる対話システムを活用
- 精神的なケアを行い、避難生活の負担を軽減
③ 過去の災害資料を空間ビデオに変換し、防災意識向上を促進
- 実際の被災体験をVR化し、視覚的に学ぶことで防災意識を高める
- 「もし自分が被災したらどう行動すべきか?」を疑似体験できるコンテンツを制作
子どもたちが孫の立場で研究に取り組む
この研究は、子どもたちが「孫」の立場で、おじいちゃん・おばあちゃんのために行うという点が特徴的だ。
研究を担当するのは、一般社団法人子ども・学生VR自由研究大会組織委員会のジュニアボランティア研究員たち。さらに、一般財団法人学会振興財団に属する子ども・学生VR自由研究学会の児童会・生徒会と連携し、実際の高齢者の声を反映させながら進めていく。
これにより、より実用的で高齢者に寄り添った防災研究が行われることが期待されている。