豊田市は、トヨタ自動車株式会社と連携し、モビリティサービス専用バッテリーEV「e-Palette(イーパレット)」を活用した実証実験を実施した。2025年2月6日から3月10日にかけて計5日間、足助地区を中心とする高齢者を対象に、車内で介護予防サービス「ずっと元気!プロジェクト」を提供。このサービスの一環として「介護美容」が採用され、高齢者が心身ともにリフレッシュできる機会が創出された。
車内で提供されたケアサービスと高齢者の反応
「ずっと元気!プロジェクト」では、株式会社ミライプロジェクトが運営する介護美容研究所の卒業生であるケアビューティストがサービスを提供。停車中のe-Palette車内で、フットケア・ハンドケア・爪ケア(ネイル)のいずれかを提供し、高齢者との会話を通じて心のケアも実施した。
利用者の一人は「e-Paletteの車内はとても暖かく快適だった。美容も良かったけれど、ヘアーカットもあればもっと嬉しい」と語り、介護美容サービスの魅力に触れる貴重な体験となった。
山間地の課題解決に「移動型サービス」を活用
豊田市によると、足助地域は高齢化が進み、社会参加機会や福祉サービスの享受が市街地に比べて著しく不足しているという課題を抱えている。これを受け、市街地で展開していた「ずっと元気!プロジェクト」を、e-Paletteという移動可能なマルチタスク車両を活用することで、山間地でも提供可能にした。
今回、サービスを男女問わず利用でき、空間的制約の少ない「介護美容」を実施することで、車両の特性との相乗効果が期待された。

トヨタも注目する「介護美容」の可能性
トヨタ自動車CVカンパニー CJP企画部の戸神氏は、「介護美容は23名に提供したが、ケア中の会話が盛り上がり、施術後に皆さんが喜んで帰っていった姿が印象的だった。e-Paletteと対面型サービスの相性の良さを実感し、今後の可能性を感じた」と語る。
「e-Palette」は低床かつ広々とした空間とスロープなどを備え、人やサービスの移動を支えるモビリティとして多目的利用が期待されている。
拡大する「介護美容」の社会的意義
「介護美容」とは、介護が必要な高齢者に美容サービスを提供し、心身のケアを行う取り組みである。美容によるADL・QOLの向上を目指し、健康寿命の延伸を目指す。2024年には介護美容を受けた利用者数が約23,010名にのぼり、わずか3年で約8倍に増加している。
全国で展開する介護美容研究所では、介護・美容業界未経験の社会人もプロとして育成し、高齢者施設や訪問介護現場での実践力を養っている。
今後の展望
移動型の福祉サービスとして「e-Palette」による「介護美容」は、都市と山間地の福祉格差を埋める新たな手段として注目を集めている。今後、地域課題の解決に向けた多目的モビリティの活用が全国に広がることが期待される。