秋田県男鹿市でクラフトサケの醸造と地域づくりを手がける稲とアガベ株式会社の関連会社・株式会社SANABURIは、酒粕から抽出したアルコールを活用する蒸留拠点「早苗饗(さなぶり)蒸留所」の一般公開を2025年5月3日より開始する。これに伴い、蒸留家による案内付き見学ツアーも週末と長期休暇に開催される予定だ。
同施設では、クラフトサケ製造過程で生じる酒粕や発酵食品製造時に発生する副産物を原料とし、スピリッツやジンといった蒸留酒を製造。2025年2月から販売を始めた「SANABURI SPIRITS 山椒 prototype01」や、3月発売の「SANABURI GIN prototype02」はすでに2,000本以上の予約を集めるなど高い注目を集めている。
蒸留所が拠点とするのは、かつて鉄工所だった建物をリノベーションした施設。ガラス張りの外観からは蒸留設備を間近で見学できる設計となっており、香り体験や有料試飲、ボトル販売も実施される。
SANABURIが掲げる「SANABURI構想」は、廃棄リスクのある地域資源を価値ある製品に変えるサステナブルなビジョンだ。将来的には酒粕以外の素材を活用した商品展開、地域食材とコラボしたクラフトリキュールの開発、さらには旧鉄工所の敷地を活用した飲食・観光拠点の整備も計画されている。
地域に根差した蒸留酒の文化とサーキュラーエコノミーの可能性を追求する本プロジェクト。今後は国内外に向けて男鹿の魅力を発信する地域ブランドとしての展開も見込まれている。