横須賀市、ふるさと納税寄付額4億3918万円で過去最高を記録 増加の要因は人員配置と外部アドバイザー、返礼品数の伸長

横須賀市
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神奈川県横須賀市は7月31日、令和5年度のふるさと納税寄付額が4億3,918万円だったと発表した。前年度と比較すると約170%の増加。これまでの最高額は令和3年度の2億8,640万円だった。ふるさと納税の制度がスタートした平成20年度からの15年間において、金額件数ともに最多を記録した。

目次

ふるさと納税寄付額が増加した6つの要因

同市のプレスリリースでは、ふるさと納税額が増加した要因を全部で6つ紹介している。それぞれ本稿でもまとめていく。

ふるさと納税企画担当課の設置

ふるさと納税の活用を促進し、市内事業者等の売上拡大を図るため、令和5年4月、経済部に「ふるさと納税企画担当課」を設置し、担当課長と営業担当職員2人を配置した。

ふるさと納税連携チームの発足

市内の農家、水産事業者、製造事業者、飲食・観光等サービス業の事業者との接点を持つ部課と連携し、市内事業者等のふるさと納税活用促進を図るため、「ふるさと納税連携チーム」を発足した。発足当初12課22人。

ふるさと納税アドバイザーの設置

寄付額拡大及び魅力ある返礼品開発に向け、山田穂高氏を「ふるさと納税アドバイザー」として招聘した。

山田穂高氏略歴
楽天株式会社(当時)入社。楽天グループ株式会社で地域創生事業ふるさと納税事業部のヴァイスマネージャーを務めたのち退社。令和5年3月に独立し株式会社祭天を創業。ふるさと納税に関する知見を活かし、全国の地方自治体においてふるさと納税の寄付額拡大を通じた地域活性化の分野で活躍。

積極的な営業を通じた参加事業者数・返礼品数の伸長

連携チームが中心となり、市内金融機関や商工会議所とも連携し、多数の営業面談や新規事業者向けセミナー等を実施。事業者の皆様にふるさと納税市場のトレンドや分析情報を共有し、魅力ある返礼品開発の提案等をすすめた。

その結果、令和5年度末時点で、参加事業者数が117社(年度当初66社)、返礼品数が779品(年度当初262品)と大幅に増加した。

市外へのPR強化

新たに追加された返礼品の情報について、市のHPでのリリースに加え、プレスリリース配信サービスを活用した。返礼品情報の露出が増加したことにより、さまざまなメディアの方に取材され、多くの露出を図れた(新聞7件・テレビ5件など)。また、メディア露出増加は、寄付額の伸長だけでなく、返礼品提供事業者のPRに繋がり、ふるさと納税以外でも購入者が流入し、市内事業者の売上が増加するケースもあった。

具体的な寄付額増加の要因

(有)マーロウのプリン、(株)オカムラのオフィスチェア、丸良水産の海苔などの既存返礼品は定期便を企画するなどラインナップを大幅に強化したことにより、寄付額が増加した。

(株)マムズの産後ケアホテル「マームガーデンリゾート葉山」の宿泊ギフト券、本まぐろ直売所の天然本まぐろ、(有) たのし屋本舗のクラフトビール、(株)コロワイドMDのサーロインステーキやカルビ、(株)日比谷花壇が運営する「ソレイユの丘」の回数券など、さまざまな新規返礼品を投入し、多くの寄付を集めた。

さらに、令和6年度においても三富屋商事(株)、(有)丸伸商事のコロッケ、平野水産(株)、かねしち丸水産(株)の釜揚げ湘南しらす、たかなし洋服店のオーダースーツ仕立券など、返礼品を続々と追加している。

また、ポータルサイトでは、令和4年10月から「ふるなび」、令和5年3月から「さとふる」で新たに掲載を開始しており、寄付者との接点が増えたことも大きく寄与したと考えられる。

【主な返礼品】

マーロウ ビーカープリン 北海道フレッシュクリームプリンとカスタードプリン 180g×4個セット
https://item.rakuten.co.jp/f142018-yokosuka/59860213/
オカムラ オフィスチェア シルフィー ヘッドレスト無し
https://item.rakuten.co.jp/f142018-yokosuka/59860372/
丸良水産 【訳あり】欠け 焼海苔 全形8枚×3袋(全形24枚)
https://item.rakuten.co.jp/f142018-yokosuka/59860759/
本まぐろ直売所 天然本まぐろ 大トロ・中トロ・赤身(約200g×3柵)600g
https://item.rakuten.co.jp/f142018-yokosuka/59860903/
マームガーデンリゾート葉山 宿泊券10万円分
https://item.rakuten.co.jp/f142018-yokosuka/59860553/
たのし屋本舗 ヨコスカゴールド5.5度6本セット (330ml瓶×6本)
https://item.rakuten.co.jp/f142018-yokosuka/59860841/

返礼品提供事業者からは「担当職員の方が頻繁に足を運んでくれた」の声

プレスリリースでは、返礼品提供事業者であるふたつの事業者からのコメントが記載されている。原文そのまま紹介する。

丸良水産(横須賀市走水)
一大産地ではない生産地”横須賀”の名で海苔を売るという事は大変難しく、既存の商品を見直すに当たり、担当職員の方が頻繁に足を運んでくださり、数々の面談を重ねることで、コミュニケーションを深めてきました。アドバイザーの助言もあり、私共も意識を高める事が出来ました。横須賀市の魅力ある商品に目を向け、発信してくださる事で、横須賀市が益々発展してゆく事を願っております。

有限会社マーロウ(工場:横須賀市平成町)
1984年横須賀市秋谷にオープンしたレストランのデザートとして提供していたプリン。2022年に横須賀にプリンと焼菓子の新工場を設立し、大きな製造拠点ができました。2023年に「ふるさと納税」に参加し、横須賀市の魅力を伝えること、横須賀に行きたいと思っていただけるにはどうしたらよいかを考えることは、私たちにとっても地元を見つめ直す良い機会になりました。マーロウの商品で横須賀を好きになっていただき、「横須賀市を応援したい」という声が少しでも増えることを目標に、自治体職員の方々と力を合わせ頑張ります。

アドバイザーからは「地域事業者との関係強化にもつながる」と期待を寄せられる

また、先述した今回のふるさと納税の取り組みにおいて横須賀市にアドバイザーとして協力した山田氏からは以下のコメントが寄せられている。

山田 穂高アドバイザーのコメント
ふるさと納税の寄付額が減少する自治体が多い中、横須賀市は寄付額を4.4億円(前年度比約170%)に達し、大きな成果を収めました。また、返礼品提供事業者数は51社増加し、商品点数は517品増加しました。この成果は、財政的な貢献だけでなく、地域事業者との関係強化にもつながっています。今後も、流通額の増加が雇用や地域産品の発展に寄与するよう、更なる努力を続けてまいります。
さらに、横須賀市では現在、寄付財源を積極的に地域の活性化に活用する仕組みの構築に着手しています。「事業者の流通拡大 → 歳入増加 → 財源の使途の明確化 → 地域への還元」という流れを確立し、市民の皆様に喜ばれるよう一層尽力してまいります。

横須賀市

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