近年、日本の都市では「ドーナツ化現象」が進行しており、特に東京都心部では顕著に見られます。
これは、都市の中心部の人口が減少し、郊外への人口流出が進む現象のこと。
本記事では「ドーナツ化現象とは何か」を詳しく解説し、地域格差を生まないための「ドーナツ化現象の対策」についても紹介します。
ドーナツ化現象とは
ドーナツ化現象とは、都市の中心部の居住人口が減少し、郊外の居住人口が増加する現象を指します。
都市の人口分布をドーナツに例え、中心部に穴が開いたような形になることからこの名前がつきました。
例えば、東京23区では、千代田区や港区の人口が減少傾向にある一方、埼玉県や千葉県などの郊外に移住する人が増加しています。
ドーナツ化現象の原因
1. 都心の土地価格の高騰
都市の中心部では商業施設やオフィスが集中し、地価が高騰。
住宅価格や家賃が上昇し、結果として住みにくくなるため、人々は郊外へ移住します。
東京都の家賃相場(一例)
- 千代田区:11.42万円
- 港区:11.07万円
- 新宿区:9.83万円 → 一方、埼玉県や千葉県では 半額以下 の家賃で住める地域も。
※各価格は2024年6月時点の情報
2. 住環境の変化
都心は便利である反面、騒音・大気汚染・緑地の少なさ などの問題があります。
これにより、より良い住環境を求めて郊外へ移住する人が増えています。
3. 郊外の住環境の改善
最近では郊外にも大型商業施設や病院、学校などの整備が進んでおり、都心に住む必要性が低くなってきています。
ドーナツ化現象の問題点
1. 都心のゴーストタウン化
日中はオフィスや商業施設で賑わう一方、夜間は人が減少し、犯罪リスクの増加や地域衰退の原因となります。
2. 通勤・通学の混雑問題
ベッドタウン化が進んだことで、通勤時間帯の電車は毎日満員。
これは都市部へのアクセスの良さを逆に悪化させる要因となっています。
3. 無計画な都市拡張(スプロール現象)
急激な都市拡張により、交通インフラや公共サービスが追いつかず、生活の利便性に差が生じる問題があります。
ドーナツ化現象の対策
ドーナツ化現象を防ぐためには、以下の対策が重要です。
1. コンパクトシティの推進
コンパクトシティとは、住宅・公共施設・商業施設を1カ所に集約する都市開発のこと。
例えば、青森市では1996年から都市機能を中心部に集約し、インフラ維持費を削減することに成功しました。
2. 公共交通機関の整備
地方都市では車依存が進む一方で、高齢者や若者が移動しにくくなっています。
「デマンド交通」など、利用者に応じた新たな交通手段の整備が求められます。
3. 地域独自の魅力創出
単に都市開発をするだけでなく、「その地域ならではの強み」を生かした街づくりも重要です。
- 富山県・高岡市の歴史文化を活かした観光都市化
- 長野県・軽井沢の移住者向けコミュニティづくり など、地域ごとの魅力を発信し、居住の定着を促すことが効果的です。
まとめ
ドーナツ化現象は、都市部の地価高騰や住環境の変化により、中心部の人口が減少し、郊外に人口が流出する現象です。
その結果、ゴーストタウン化や交通問題、無計画な都市開発といった問題が発生します。
対策としては、コンパクトシティの推進・公共交通の整備・地域の魅力向上などが挙げられます。
特に、人口減少が進む日本において、持続可能な都市計画を進めることが重要です。
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