自治体が出資・協定等で関与する地域新電力が全国で103に上ることが一般社団法人ローカルグッド創成支援機構の調査で明らかになった。
地域の再生可能エネルギー電気等を地域に供給するとともに地域課題解決事業などもあわせて実施する地域新電力は、脱炭素まちづくりの担い手として期待され、全国で拡大している。
2024年4月末時点で小売電気事業者登録がされており、公表資料において次の1)、2)または3)への該当を確認できた法人を地域新電力としたところ、103社を確認した。
- 自治体からの出資を受けている法人(間接出資を含む)
- 自治体と協定を締結している法人(協定に基づき設立または運営されている法人含む)
- 自治体が社員として構成されている一般社団法人
地域新電力の種類は大きく分けて2種類存在している。主力となる事業が別にある場合と、電力会社として設立された(=主たる事業が電力)であるかどうかだ。また設立の背景には、地域のガス会社、ケーブルテレビ会社、電設、再エネなどの企業が基になっているケースがある。
地域の電力会社は2015年から2019年度は設立が相次いだものの、2021年1月の卸電力市場高騰以降は減少傾向。しかしし、ゼロカーボンシティ施策のひとつとして地域新電力を検討中の自治体もあり、今後も一定数設立されていく見込みだという。
現在、自治体等による地域脱炭素の機運が高まっている。ただ、小規模の自治体においては、脱炭素事業をしたくても地域に相談・実行できる主体がほとんど存在せず、東京等の都市部の事業者に頼らざるをえないという課題がある。そのような中、地域人材が運営する地域新電力が、自治体が環境政策で相談できる「ローカルシンクタンク」や脱炭素まちづくりの「地域の担い手」としての役割を担う事例が拡大している。
これら地域新電力による自治体や地域のステークフォルダ―等と連携した脱炭素事業は、地域経済循環を引き起こすとともに、地域共生型の再生可能エネルギー拡大にもつながる。