株式会社バカンは11月7日、としまセンタースクエアにて豊島区役所職員と避難所入所受付のデジタル化の実証実験を10月8日に実施したことを発表した。実証実験では、避難所で混雑を発生させないため避難者の避難入所受付にかかる時間をどれくらい短縮できるか、そして避難所運営者や自治体職員による避難者名簿のデータベース化や報告等の作業負担をどれくらい軽減できるかを検証した。
受付業務を7秒に短縮
従来の紙での受付では、避難者による記入と、避難所職員によるExcelへの転記及び報告までを含めると、ひとりあたり平均100秒を要していた。実証実験では従来の方法のほか、マイナンバーカードの読み取りや、情報登録済みのアプリから二次元バーコードを読み取る方法で比較検証したという。
その結果、約100秒かかっていた従来の手法(紙への記入+Excelへの転記等の合計)と比べ、アプリ利用時は約7秒で受付を完了することがわかった。この結果について豊島区の職員らのほとんどが「スムーズだと感じた」とコメントしている。
地域交流アプリが災害時は避難の円滑化に活用される
この実証実験で使われたのは、自治体向け地域交流推進アプリ「tami tami」だ。本アプリは、日常における地域交流活性化を目的とした機能を搭載しながら、災害発生時においては避難の分散や円滑化を目的に、避難所の位置と混雑状況の把握、スマホで入所手続を行える機能等を提供している。
たとえば、今回の実証実験でも使われた避難所入所受付では、避難者及び避難者の家族等の基本4情報(氏名・住所・性別・生年月日)等を事前登録することで、災害発生時には、避難所に掲示された二次元バーコードを読み取るだけでスムーズな入所手続きが可能になる。
そのほかにも、自分の現在地や、その近くの避難所の位置と開設状況の確認できることにくわえ、避難所のリアルタイム混雑情報を配信してくれる避難所マップや、公民館や体育館、スポーツ施設等の施設ごとの予約に対応している機能なども備える。
有事の際は避難所も混雑というより混乱することは容易に想像がつく。速度も重要だが、各種手続きがいかに簡単で正確かが重要だ。そのぶん、バカンの今回のアプリの取り組みは、事前にいくつかの情報を入力する必要はあるものの、逆に言えば“それだけで”スムーズになる点はかなり魅力を感じる。
ハザードマップなどで住む場所を決める人がいるように、有事の際の対応の快適さでどこで暮らすかを決める人も今後現れるかもしれない。