介護業界における人手不足は深刻だ。
厚生労働省が2018年に発表した「介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数」では、「2016年度の約190万人に加え、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材を確保する必要がある」と述べられている。これは介護人材が2025年度末には約245万人が必要という試算のもと導かれた数値だ。
気づけば2025年度はもう目の前。全国各地で介護人材の確保などに追われている。
介護現場では、外国人介護人材の受け入れが進んでいる。しかし、定着率の低さが課題として新たに浮上した。
Zenken株式会社では、2022年から介護事業者向けに外国人介護人材の紹介と、長く日本で働くことを目指した日本語教育を含めた定着支援を実施している。この取り組みのなかで、人材紹介や日本語教育だけでなく、外国人介護人材の受入れに際する介護事業者側のマインドセット、異文化に対する理解の向上、外国人介護人材とのコミュニケーションで留意すべき点、育成のためのノウハウ提供などへのニーズが高まっていることがわかった。
そこで同社は2024年11月18日に地方自治体向けに外国人介護人材の受入れ・定着支援サービスを開始したことを発表した。
この支援サービスでは、外国人介護人材の受入れ・定着に際して地方自治体が抱える課題を特定し、その解決策を提示して実行する。具体的には、介護事業者の経営層や現場の職員に対し、外国人受入れに関する正しい知識を身につけ、受け入れ側のマインドセットを促すための研修や、異文化理解研修、就労環境の整備についてのガイダンス、育成方法のノウハウなどを学べる研修などを実施する。
すでに新潟県での実施が決まっており、県内の外国人介護人材を受入れ経験のある施設やこれからの受け入れを検討している施設の職員を対象に、外国人介護人材の受け入れに必要な知識や実践ポイントを解説する他社共同のオンラインセミナーを企画し提供するという。
今後、多くの業種・業界で外国人の人材受け入れが進む可能性がある。企業側が受け入れるということは、利用する側も知る・理解することが必要なシーンも発生しそうだ。これは一部の業界などの話ではなく、日本全体で国際化へのマインドセットを養うときが来ているのかもしれない。