大和ハウスグループの株式会社フジタと株式会社トクヤマは、セメントなど材料由来の温室効果ガス排出量を実質ゼロとした環境配慮型の歩道用舗装材「バイオ炭インターロッキングブロック」を開発したことを発表した。
歩道用舗装材に必要な曲げ強度3.0N/mm2 を確保しつつ、CO2 の固定および産業副産物の有効利用を目的に、バイオ炭の一種である木質バイオマスガス化発電の副産物である炭を活用し、炭素を貯留することでカーボンニュートラルを実現した製品だ。
混合セメント単体でカーボンニュートラルの実現は困難だった
建設業界では、コンクリートの利用にともなって発生するCO2排出量削減のため、各種技術の開発が進められている。
コンクリート製品においても、CO2排出量削減に向けて、高炉スラグ微粉末や石炭灰のフライアッシュなど、産業副産物をセメントの一部に置換した混合セメントが利用されているが、混合セメント単体でコンクリート製品に用いられる材料由来の温室効果ガスを排出ゼロとするカーボンニュートラル化は困難だった。
フジタとトクヤマでは、困難だったコンクリート製品のカーボンニュートラル化を目指し、炭素が大量に含まれた炭素材料であるバイオ炭を選定し、開発に取り組んできた。そして開発に至ったのが「バイオ炭インターロッキングブロック」だ。
ヒートアイランド現象の緩和に期待できる
木質バイオマスガス化発電の副産物である炭は多くの炭素を含有(30~80wt%程度)する材料であり、コンクリート製品に混合することで炭素を貯留可能にする。しかし、多くは粒子が細かく、そのままの形状ではコンクリートの材料としては適さない材料だった。
そのため、木質バイオマスガス化発電の副産物である炭を大きな粒状に加工し、炭素成形体とすることで通常のコンクリートに使用される骨材と同様の取り扱いが可能となり、コンクリート製品と混合することによって炭素を貯留し、カーボンニュートラルを実現した。
また、バイオ炭インターロッキングブロックは、一般のブロックと比較して保水性が高く(インターロッキングブロックJIS 推奨仕様値比 保水量167%、吸上げ率130%)、高性能な保水性舗装として路面の温度を下げ、ヒートアイランド現象の緩和が期待できるそうだ。
今回開発したバイオ炭インターロッキングブロックは、トクヤマグループの株式会社トクヤマアートブロックLABOにて、製造可能であることを確認しており、今後もフジタとトクヤマおよびトクヤマアートブロックLABOは、バイオ炭インターロッキングブロックの適用規模拡大に向けて、曲げ強度および保水性などの性能向上と安定供給体制の構築を進めていくという。