愛媛県今治市は、「住みたい田舎ベストランキング」で3年連続4冠に輝くなど、移住・定住先として全国から注目されている。その今治市が新たに「住み続けたい田舎」を実現するための一環として、愛媛県内初の自治体主導による「終活サポート事業」をスタートした。
安心して住み続けられる取り組みが求められている
今治市への令和5年度の移住者は3,000名を超えており、また、令和5年度末までに任期を終了した地域おこし協力隊の定住率は78%を超えている。
一方で、総人口が年々減少するなか、高齢化率は上昇しており令和5年には35.8%となった。身近に家族がいない方を始め、誰もが将来に対する不安を少しでも取り除き、安心して住み続けることができるようにするための取り組みが、これまで以上に求められてきている。
そうした中、市が「終活」についてサポート体制を整え、情報発信することによって、まずは家庭などで話題にしてもらう行政としての大きな役割のひとつであると同市は考えた。
自治体主導による終活サポート事業は、本人や家族、関係団体等から関心が寄せられ、数多くの相談や問い合わせがあるという。市は「みなさまから必要とされている事業であると実感している」と述べた。
終活サポート事業の概要
終活サポートセンター
住み慣れた地域で自分らしい生活を最期まで送るために必要な情報を提供し、また、市が実施する終活支援に賛同し、それぞれの特色を活かして終活を応援している事業所もあわせて紹介している。
実際に相談した方からは、「何から手をつけていいのかわからなかったが、話をしているうちに頭の整理ができた」「普段は家族と話しづらい話題だが、広報いまばりでこの事業を知り、家族と一緒に相談に来られてよかった」という声があるそうだ。
終活情報登録事業
自身が元気なうちに、終活に関する情報を今治市に登録すると、急病や事故などで意思表示ができなくなったもしもの時に、登録した内容を指定した親族や病院、警察などに伝えられる。
登録できる内容は、緊急連絡先やエンディングノート・遺言書の保管場所、葬儀などの生前契約、親族に伝えたいことなど。現在の登録は40代~80代と、幅広い世代の方に登録が広がっているという。
出張講座「いまばりで終活を始めませんか」
今治市では終活に関する出張講座を開催している。
終活は、もしもの時に、自身の望みをかなえるため、そしてこれからも自分らしく生きるための第一歩となる。この講座では、終活に関する全般的な知識を伝えながら、人生の最期に対する不安を解消し、これから過ごす未来を前向きに楽しく生きるための準備を手伝う。