住友林業株式会社と三井住友信託銀行株式会社が共同出資する「日本森林アセット株式会社」が、伐採跡地を再造林し、国内林業を活性化させる取り組みを加速させています。再造林事業を通じて、持続可能で経済性の高い森林経営を目指し、J-クレジットの活用や森林ファンドの組成も視野に入れた活動が展開されています。
目次
再造林事業の背景と課題解決へのアプローチ
日本では、森林の伐採後に再造林が進まず、再造林率は30~40%程度にとどまっています。木材価格の低迷や再造林初期費用の高さが原因となり、管理不十分な森林が増加しています。これにより、森林が本来持つ経済的・環境的価値が十分に発揮されていない状況です。
日本森林アセットは、伐採跡地を取得し、住友林業の森林経営ノウハウと三井住友信託銀行の金融支援を融合。これにより、伐採後の再造林や持続可能な森林管理を推進します。具体的には、J-クレジット制度を活用した炭素吸収量の可視化や森林資源の活用により、森林経営の経済性を高めます。
取り組みのポイント
- 再造林の推進
日本森林アセットは、東北や九州を中心に伐採跡地を取得し、再造林を計画。苗木の植え付けや下刈り作業など、持続可能な森林管理を実施します。 - J-クレジットの活用
国が認証するJ-クレジットを活用し、森林の炭素吸収量をクレジット化。プログラム型の手法により、コストを削減しつつ、創出量を拡大します。 - 持続可能な資源活用
再造林で育てた森林資源を活用し、木材や木質バイオマス発電など、地域経済に貢献する取り組みを強化します。 - 森林ファンドの組成
アメリカでの森林ファンドの成功事例を参考に、森林の環境価値を評価し、投資資金を活用した日本版森林ファンドの設立を目指します。
今後の展望
2030年までに3,000haの再造林を目標とし、森林取得から管理、資源活用までの一連のモデルを確立することを目指します。また、三井住友信託銀行が持つ信託スキームやネットワークを活用することで、森林資産のファンド化や投資家との連携を進め、日本の林業を新たなステージへと導きます。
住友林業と三井住友信託銀行の協力は、国内林業の再生と持続可能な社会の構築に向けた重要な一歩となるでしょう。