NTTアドバンステクノロジ株式会社は7月22日、全国の自治体を対象とした住民避難サービス「ニゲドキ」の無料トライアルを開始した。
ニゲドキは住民それぞれに応じたお知らせを発信することで避難行動を促進させる。一連のサービスについて、トライアル提供に参加してくれる自治体を募集している。
スマートフォンやインターネット環境がない人も利用できる
まずニゲドキの機能を紹介する。
災害の危険度が高まり、設定した所在地に応じてスマートフォン等にプッシュ通知で「お知らせ」が届く。この所在地は自宅だけでなく、勤務先や実家、そのほかの場所など複数設定できる。
ニゲドキのサービス上の地図画面にはGPSによる現在地周辺の降雨情報や危険度情報をリアルタイムに表示するだけでなく、避難所の場所、避難所の開設状況なども反映される。避難所ごとの混雑状況や福祉避難所対応の有無などもわかる。
また、マイ・タイムラインを簡単に作成できる機能も備える。マイ・タイムラインとは住民それぞれの防災行動計画のことで、国土交通省が作成を推奨しているものだ。ニゲドキでのマイ・タイムラインは、防災に関して特別な知識不要で作成できるのも特徴。印刷にも対応しているため、スマートフォンが使えない状況でも活用できるだけでなく、スマートフォンを持っていない人に向けて代理者が作成・印刷して渡せる。
くわえて、スマートフォンを持っていなかったり、自宅等にインターネット環境がなかったりする人向けに「戸別受信機」でもお知らせなどを受け取れるようになっている。ただし、ネット環境のない住居へのお知らせには、NTTアドバンステクノロジのマルチデバイス対応の情報配信サービス「@InfoCanal(アットインフォカナル)」の利用および連携が必要だ。
「避難情報を発信しても、住民が避難してくれない」
ニゲドキを提供する背景には、危険が迫っていても避難行動を起こしてくれない住民がいる現状があるとしている。
NTTアドバンステクノロジのプレスリリースによれば、災害情報を一斉配信する仕組みの整備は進められる一方で、「避難情報を発信しても、住民が避難してくれない」といった共通課題を多くの自治体が抱えているそうだ。本当に危険な状況にもかかわらず避難に遅れたことで被害にあってしまうだけでなく、逃げ遅れがないか確認のために職員等が危険な場所に赴く事態も発生しているという。
NTTアドバンステクノロジはこの課題が発生する理由のひとつに、「(住民が)避難情報を『自分事』として捉えてもらえないのでは」としている。そこで、住民それぞれにパーソナライズした情報を提供することで自分事として捉えてもらえれば、迅速な避難活動を促進できると考え、ニゲドキのサービス提供に至った。
個人の状況に即した情報を提供することで、逃げ遅れゼロを目指す避難行動支援がニゲドキの狙いだ。住民の避難行動を促進することで、人的被害を減らすだけでなく、避難促進にかかる自治体職員の負担軽減も図る。
冒頭にも記載したとおり、現在、ニゲドキのサービスをトライアルしてくれる自治体を募集中だ。対象は自治体の職員で、スマートフォンで各機能を試せる。マイ・タイムラインの作成について、必要に応じて集合形式の講習会を開催し、NTTアドバンステクノロジの担当者による説明のうえ、その場で体験できる機会も提供してくれる。