株式会社ほくつうは、農林水産省が策定する「スマート農業技術活用促進法」に基づく開発供給実施計画の認定を取得した。本認定は、農業分野における技術革新を促進するもので、ほくつうが開発する「無線化ユニット搭載水田センサー」がその対象となった。
本技術は、水田の水位・水温管理を遠隔で効率的に行うことを目的とし、従来の有線接続型機器の課題を克服することで、特に中山間地域や通信環境が整っていない地域での利用を可能にする。能登半島をはじめとする農業地域の復興支援にも活用が期待される。
開発の背景 – スマート農業の必要性
日本の農業は、高齢化や後継者不足により一人当たりの経営耕地面積が拡大しており、農作業の効率化が急務となっている。特に水田の水管理作業は労働負担が大きく、省力化への要望が高まっている。一方で、市販の水管理システムはクラウドを利用した無線型が主流だが、通信環境の未整備地域では利用が難しいという課題があった。
また、有線接続型のシステムは設置場所が制限される上、小動物によるケーブルの損傷や農作業中の断線といったトラブルも発生しやすかった。こうした状況を踏まえ、ほくつうは既存の水田センサー(水位・水位水温)に後付け可能な無線化ユニットを開発し、より広範囲での水管理を可能とする技術を開発した。
開発された技術の特長
① 業界初の無線化ユニット搭載水田センサー
ほくつうの新技術は、従来の水田センサーに後付けできる無線化ユニットを搭載。これにより、以下のような利点が得られる。
- 通信環境が整っていない地域でも利用可能
- 設置場所の制約を大幅に緩和
- 有線接続時に発生していた断線リスクを低減
- 既存のセンサー(水位・水位水温)への互換性
これにより、農業従事者は水田の水管理作業を遠隔で効率的に行うことができ、作業負担を軽減できる。
② スタンドアローン機能
通信環境がないほ場でも、一度設定したスケジュール通りにタイマー式で自動給水を行う機能を搭載。これにより、通信設備のない地域でも安定的な水管理が可能となる。
③ ホップ機能
本技術は自動給水機同士が通信することで、通信エリアを拡張できる仕組みを備えている。これにより、通信インフラが未整備の地域でも、自動給水機の相互通信によって広範囲での水管理を実現できる。
技術の活用と能登半島復興への貢献
本技術は、特に中山間地域や通信環境が未整備の地域での活用が期待されており、能登半島をはじめとする農業復興支援にも貢献すると見られる。ほくつうは、能登半島地震後の復興支援の一環として、地域農業の持続可能な発展を目指し、本技術の実装を進めていく。
また、今後は自治体や農業関係機関との連携を強化し、実証実験を通じた技術の精度向上を図る予定だ。
今後の展望
ほくつうは、今回の技術開発を皮切りに、スマート農業の普及促進に向けたさらなる技術革新を進めていく。今後は、より高度な自動化やAIを活用した水管理技術の開発にも取り組み、農業従事者の負担軽減および地域農業の持続的発展に貢献する計画だ。