株式会社トルビズオンは、株式会社J WORKS CAREER(熊本県長洲町)、Public Gate合同会社(佐賀県大町町)、認定NPO法人日本レスキュー協会と共同で、佐賀県大町町においてドローンと災害救助犬の連携による土砂災害対応の実証実験(PoC)を実施する。
本実証実験は、2025年3月18日に行われ、ドローンを活用した迅速な被害状況の把握と、災害救助犬の機動力を掛け合わせた新たな救助体制の可能性を検証する。
背景と目的:気候変動に伴う災害リスクの増加
近年、気候変動の影響で線状降水帯による豪雨災害が全国的に多発している。佐賀県大町町も、令和元年・令和3年に発生した水害の経験から、特に土砂災害に対する防災・減災対策が求められている。
本実証実験は、休眠預金活用事業の一環として、地域の防災力を高めるために「空の道」モデルの構築を目指すものだ。
主な目的は以下の3点。
- ドローンと災害救助犬の連携による救助活動の効率化
- ドローン活用の技術的検証と運用方法の最適化
- 地域住民の防災意識向上と「空の道」の視覚化による安心感の醸成
実施概要
- 日程:2025年3月18日 10:00開始(予備日:3月21日)
- 場所:佐賀県大町町東部神山地区
- 集合場所:日本レスキュー協会 佐賀県支部MOAWAN
想定シナリオ:線状降水帯による大規模な土砂崩れが発生し、神山地区の半分が被災。ドローンと災害救助犬を活用して迅速な救助を行う。
使用機体:
- DJI FlyCart30(搬送用)
- Autel Robotics EVO Max(調査用)
実施内容:ドローン×救助犬のハイブリッド捜索
- ドローンによる被災状況の把握
- 高解像度カメラ・熱感知センサーを活用し、被災エリアの詳細なマッピングを実施 - 災害救助犬による要救助者の捜索デモ
- ドローンのスキャン結果をもとに、救助犬がピンポイントで捜索を開始 - 搬送用ドローンによる救助資機材の輸送
- ポンプや医療用品などの物資を迅速に搬送し、救助活動を支援
期待される成果
- ドローン×救助犬の連携による迅速な救助体制の構築
- 災害発生時におけるドローン活用の実用性評価
- 自治体・消防・警察との連携強化と訓練の標準化
- 「大町モデル」として全国への展開可能性の検証
関係者コメント
株式会社J WORKS CAREER 代表 西林裕起氏
「今回の実証実験は、住民の皆様や役場のご協力のもとで実現しました。特に「空の道」という仕組みを活用し、ドローンの安全運航を確保しています。ドローンと災害救助犬の連携が、救助活動にどれほどの効果をもたらすかを検証し、今後の防災対策に役立てていきます」
Public Gate合同会社 代表 公門寛稀氏
「令和元年・3年に発生した豪雨災害の経験を踏まえ、大町町だからこそできる官民連携の防災体制を構築したいと考えています。ドローン活用は、地域の防災力向上において重要な役割を果たすでしょう」
認定NPO法人日本レスキュー協会 代表 岡武氏
「災害現場は非常に混乱しており、迅速な情報収集と対応が求められます。ドローン技術の導入により、より安全かつ効果的な救助活動が可能になることを期待しています」
株式会社トルビズオン 代表 増本衛氏
「佐賀県中部を中心にドローン空路網の整備に取り組んできましたが、今回のプロジェクトはその集大成とも言えます。ドローンと救助犬の連携は、災害時の情報収集や物資輸送に革命をもたらす可能性があります」
今後の展開:「大町モデル」の全国展開へ
本実証実験の成果をもとに、「大町モデル」として以下の展開を予定している。
- 大町町とのさらなる連携強化
- 他の自治体への展開と防災訓練の標準化
- ドローンを活用した災害対応マニュアルの作成
この取り組みが成功すれば、同様の地形を持つ他の地域にも応用可能であり、全国の防災・減災対策のモデルケースとなることが期待される。
まとめ:テクノロジーと防災の融合が新たな未来を拓く
気候変動による災害のリスクが高まる中、テクノロジーを活用した防災対策の重要性はますます高まっている。
今回の実証実験は、ドローンと災害救助犬の連携による迅速な救助活動という新たな可能性を示すものであり、地域住民の安全確保に向けた大きな一歩となる。
「空の道」が築く新たな防災の未来に、今後も注目していきたい。