株式会社オープントーンは、公益社団法人日本観光振興協会と共同運営する「日本観光振興デジタルプラットフォーム(デジプラ)」において、インバウンド観光客の移動データを可視化する新機能「AIインバウンドの足跡」の提供を開始した。この機能により、指定した国や期間、時間帯ごとの訪日外国人の行動を詳細に把握でき、観光施策の改善や地域経済の活性化に役立てることが可能となる。
近年、コロナ禍による渡航制限が解除され、訪日外国人の数は急増。2024年には過去最高の来訪者数と消費額を記録した。一方で、一部の観光地ではオーバーツーリズムが深刻化し、地域住民の生活や持続可能な観光推進の観点から対策が求められている。
さらに、政府は「飲食関連のインバウンド消費を2030年までに3倍近くに引き上げる」という目標を掲げており、効果的な施策立案には観光客の行動を正確に把握することが不可欠だ。しかし、従来の統計データでは地域ごとの詳細な動向分析が難しく、精度の高い誘客戦略の構築が課題となっていた。
こうした状況を受け、日本観光振興デジタルプラットフォームは「AIインバウンドの足跡」を導入し、観光施策の強化を支援する。
「AIインバウンドの足跡」の概要と特徴
本サービスでは、指定した条件(国・期間・時間帯)に応じた観光客の行動データを可視化できる。
1. 宿泊エリアの特定
- 深夜・早朝の移動データを分析し、国別に宿泊エリアを把握
- 宿泊施設の選択傾向や地域ごとの滞在時間を明確化
2. 昼間の行動分析
- 午前から夕方にかけての移動データを解析し、国別の訪問先を特定
- 商業施設や観光スポットの人気エリアを可視化
3. 日別・時間帯別の移動パターン分析
- 朝・午前・昼・午後・夕方・夜・深夜の時間帯ごとに移動傾向を細分化
- 特定の期間や時間帯の観光行動を分析し、ピーク時の混雑予測に活用
このデータをもとに、観光地ごとの滞在時間や消費行動を分析し、ターゲット層に応じたプロモーション戦略の立案が可能となる。
また、観光施策だけでなく、地域の交通計画やオーバーツーリズムの現状分析にも活用できる。
データの利用方法と安全性
本サービスは、米国カリフォルニア州のAzira社が保有する、プライバシーに配慮した形で収集・整理されたGPSデータを活用。世界約200カ国、10億台を超えるスマートデバイスから取得したデータを基に、精度の高い分析を提供する。
プライバシー保護の観点から、個人を特定しない匿名化データを使用しており、観光施策のみに活用できる形で提供される。
「日本観光振興デジタルプラットフォーム(デジプラ)」とは
デジプラは、地域の観光戦略に役立つデータを集約したプラットフォームである。宿泊・人流・消費といった多様なデータを管理し、各地域が持つ観光資源や旅行者の満足度調査の結果を閲覧できる。
デジプラの詳細はこちら:https://lp.nihon-kankou-dx.info/
サービス料金と導入について
「AIインバウンドの足跡」は、日本観光振興デジタルプラットフォームの拡張サービスとして提供される。料金や詳細な導入方法については、問い合わせが必要となる。
問い合わせ先
株式会社オープントーン
URL:https://www.opentone.co.jp/
まとめ:観光の質を向上させ、持続可能な誘客戦略へ
「AIインバウンドの足跡」により、訪日外国人の行動データを正確に把握し、観光施策の最適化が可能となる。これにより、地域経済の活性化を図るとともに、オーバーツーリズムの課題にも対応できる。
持続可能な観光推進に向け、データを活用した戦略的な誘客施策を進めることが求められる。各地域の観光振興を支えるツールとして、本サービスの活用が期待される。