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上越市の介護現場で生成AI「tsuzumi」を活用 記録業務の56%効率化に成功、人手不足が深刻な介護業界での挑戦

上越市の介護現場で生成AI「tsuzumi」を活用 記録業務の56%効率化に成功、人手不足が深刻な介護業界での挑戦
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新潟県上越市において、生成AIを活用した介護業務の効率化に向けた実証実験が成功を収めた。実施したのは、上越市の産官学金民が連携する「上越5e協議会」と、地域の介護事業者である株式会社丸互、そして東日本電信電話株式会社(NTT東日本)だ。

今回の取り組みでは、NTTが開発した軽量型の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(つづみ)」を活用し、介護士が日々行っている介護記録の作成を自動化。その結果、記録作業にかかる時間を1日あたり39分から17分に短縮し、56%の業務効率化を達成した。

目次

音声入力+AIで介護記録を自動生成

介護現場では、利用者の状態やケア内容を記録する「介護記録」が不可欠だが、パソコンでの手入力には時間と労力がかかる。今回の実証では、介護士がノートPCに音声で報告内容を入力し、それを「tsuzumi」が自動で文字起こし、さらに記録項目(食事・排泄・入浴など)に仕分けるという仕組みを構築した。

特徴的なのは、tsuzumiがGPUではなくCPUだけで動作可能な軽量AIである点。これにより、オンプレミス環境でも導入でき、クラウドを介さずに機微な情報もセキュアに扱うことができる。

正答率78%、現場での活用に手応え

本実証は、介護記録の6カテゴリ(バイタル、食事、排泄、入浴、レクリエーション、その他)において実施され、AIの処理精度である正答率は78%に到達。一定の改善余地を残しつつも、現場導入の有効性が示された形だ。

実証にはNTT東日本が提供するVPN回線を活用し、丸互が管理するサーバにtsuzumiを設置。複数の介護事業者を遠隔で接続する構成で行われた。

地域連携が生んだ、先進的なモデル事例

この取り組みの意義は、テクノロジーの力による介護人材不足へのアプローチだけではない。産官学金民が連携する「上越5e協議会」の存在が、地域課題に対する横断的な対応力を示すものとなっている。

それぞれの役割分担は以下のとおり。

  • 上越5e協議会:実証全体のコーディネート
  • 株式会社丸互:現場機材の提供・業務データの収集と分析
  • NTT東日本:tsuzumiの技術提供・AI精度の評価分析

今後は市販介護システムとの連携を視野に

今後、丸互では一般の介護システムとの接続を見据えたAPIの開発を進めていく方針。またNTT東日本では、誤認識データの分析を通じてtsuzumiの性能向上に取り組む。最終的には、スマートデバイスによるハンズフリー記録の実現を目指すという。

高齢化が進む中、地方都市の介護現場で生まれたこの先進的なモデルが、全国の地域課題解決のロールモデルとなる可能性は高い。テクノロジーと地域の知見を掛け合わせたこの実証は、「人手不足」という社会課題に対する現実的な一歩となった。

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