シティプロモーションが全国の自治体で注目を集める中、奈良県吉野町が打ち出した新たな戦略『挑戦の地、吉野』が注目されている。その戦略策定を支援したsembear合同会社は、実際のプロセスを5つのステップに整理し、自治体が陥りやすい課題やリアルな議論の背景をまとめた事例記事を公開した。
「なぜこの戦略になったのか?」「どんな議論があって今の形になったのか?」――多くの事例が“結果”にフォーカスされがちな中、吉野町の取り組みは、戦略構築の“背景とプロセス”に踏み込んで紹介されている点が大きな特徴だ。
「100年後に吉野を繋ぐ」プロジェクト、始動
吉野町とsembear合同会社は、人口減少や関係人口の拡大といった課題を見据え、2024年4月から戦略構築を本格化。調査・分析・コンセプト設計など、マーケティングの視点から多面的に取り組みを進めた。
そして2025年2月3日、新たな町の旗印として「100年後に吉野を繋ぐプロジェクト『挑戦の地、吉野』」を発表。同日には、吉野町公式ウェブサイトのリニューアルおよびタウンプロモーション専用サイトも公開され、町のメッセージを広く発信する体制が整った。
「挑戦の地、吉野」はこうして生まれた――5ステップで振り返る戦略策定の道のり
sembear合同会社が公開した記事では、戦略策定のプロセスを以下の5つのステップに整理。それぞれのフェーズでどんな議論や意識共有がなされていたのかが詳細に記されている。
- ステップ1:シティプロモーションのゴールを考える
- ステップ2:シティプロモーションの推進体制を考える
- ステップ3:現状分析で「真の現在地」を正しく把握する
- ステップ4:シティプロモーションを現実化する市場分析・ターゲット選定
- ステップ5:ターゲットが惹かれるコンセプトコピーを策定
「結果」ではなく「過程」から学ぶ、これからのプロモーション戦略
記事内では、関係人口に携わる吉野町の職員によるリアルなコメントも掲載されており、机上では見えてこない実務の視点や苦労、学びが伝えられている。
単なるスローガンや施策集ではなく、「町の未来をどうつくるか?」という対話と試行錯誤の積み重ねこそが、吉野町の戦略の本質だ。
今後、吉野町ではこの戦略を軸に新たな施策や発信が本格化していく予定だという。自治体の現場で悩む担当者にとって、きっと実践のヒントが詰まった事例となるだろう。