認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)は、2024年10月に全国の小中学生2,000人を対象とした「こども食堂の参加者・非参加者調査」を実施し、参加している子どもは非参加者に比べて、地域への信頼感や社交性が高い傾向にあることを明らかにした。さらに、こども食堂への参加頻度が高まるほど、その傾向が顕著になることも確認された。
地域への信頼感や「居場所感」が向上
調査では、こども食堂に参加している子どもほど、地域の人への信頼感が高く、「悩みを相談できる人がいる」「困った時に助けてくれる人がいる」と感じている割合が高かった。また、社交性や社会貢献意欲も非参加者に比べて高く、子どもたちが他者と積極的に関わる姿勢を育んでいることが示された。
さらに、参加者の65.2%が「こども食堂を居場所だと感じる」と回答。〈家庭〉や〈学校〉といった定番の居場所と並ぶ水準となっており、地域に開かれた新たな「心の拠り所」としての機能が浮き彫りになった。
参加頻度が高いほど、笑顔や会話が増加
こども食堂への参加頻度が高まることで、子どもたちの変化も顕著に見られた。調査では、「笑顔が増えた」「家族との会話が増えた」「友だちが増えた」「大人との会話が増えた」といった変化が、週1回以上の参加者において特に多く報告された。単なる食事の場ではなく、地域との接点を持ち、安心できる環境の中で自己肯定感や他者との関係性を深める場になっていることがうかがえる。
一方で、孤独感や無力感を抱える子どもも
一方で、参加者の中には「孤独を感じる」「自分は役に立たないと感じる」など、無力感を抱える子どもも一定数存在することが分かった。朝食を食べない日が多い、夕食を一人で食べる頻度が高いといった生活環境に課題を抱える子どもも多く、家庭に居場所を感じにくい傾向も示された。
これらの傾向は「こども食堂に来ている子どもが特別」というよりも、困難を抱える子どもたちが安心して足を運べる場として、こども食堂が機能していることを示している。むすびえでは「すべてのこどもがそうだというわけではない」と注意喚起しつつも、こども食堂の存在意義を再認識するきっかけとなる結果と捉えている。
全国に広がる“みんなの居場所”として
現在、全国には10,867箇所のこども食堂が存在しており、その多くが月1回程度の頻度で開かれている。むすびえは今後も、全小学校区に1箇所以上のこども食堂がある社会を目指し、調査研究や広報活動を通じて社会への理解と支援の輪を広げていくとしている。
本調査は、こども食堂が“貧困対策”という一面的なイメージだけでなく、地域に開かれた交流の場、そして子どもたちの心の支えとして、多様な価値を持つことを改めて浮き彫りにするものとなった。今後も、子ども一人ひとりの笑顔を育む居場所として、こども食堂の意義が広く社会に根付いていくことが期待される。