東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)は4月18日、横浜市と共同で実施したRAG(検索拡張生成)技術の実証実験について、成果を発表した。本実証は2024年11月から2025年3月までの期間、横浜市が進める生成AI導入の一環として行われ、NTT東日本が伴走型支援を行った。
目次
自治体業務における生成AI活用の実証 3つのテーマで効果を検証
今回の実証では、以下の3つのテーマにおいてRAG技術の活用可能性を検証した。
- 選挙管理事務
- 権利擁護業務(成年後見制度等)
- データ活用業務
RAG技術とは、大規模言語モデル(LLM)と独自データを組み合わせ、精度の高い情報生成を実現する仕組みである。実証では、自治体が保有するドキュメント等の機械判読性を高めたうえで、精度向上に向けたデータ整備やプロンプトチューニングが行われた。
生成AI導入を支える伴走支援 ガイドライン策定や研修も実施
NTT東日本は、生成AIの利活用を定着させるため、技術提供だけでなく包括的な支援を展開。具体的には以下の取り組みを行った。
- 職員向け研修:Copilot活用やプロンプト設計に関する実践的なハンズオン研修を実施
- ユースケース創出支援:業務課題のヒアリングと生成AI活用を組み合わせた現場支援を展開
- ガイドライン策定:AI活用の可否判断や運用ルールの整備支援
- 技術支援:独自データの整理、検証ポイントの設定、運用改善のサイクルを伴走支援
全国自治体への示唆 専門人材不足を補うモデルに
総務省の調査によれば、政令指定都市の約9割が生成AIの導入や実証を進めており、横浜市の先行事例は他自治体にとっても参考となる。NTT東日本は、今後も自治体と連携し、生成AIを活用した業務効率化の支援を継続していく方針を示している。
人材不足や業務の高度化が進む中、RAGを活用した実証は、自治体の行政DXにおける新たなモデルケースとして注目されている。