「10代の犯罪を減らす」をミッションに掲げる株式会社一(はじめ)は、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE for Social Good」にて、少年院での起業家教育プログラム「HIGH HOPE」の活動支援を目的としたプロジェクトを開始した。募集期間は2025年4月22日から6月10日まで、目標金額は1,000万円。
クラウドファンディングページ:https://camp-fire.jp/projects/831531/view
ビジネスでは解決できなかった社会課題に挑む
本プロジェクトの原点は、少年院で出会った若者たちの「悔しさ」と「未来への希望」だ。罪を犯した10代が、反省とともに再出発を誓い、社会の中で「人の役に立つ存在」として生き直す機会は、決して多くない。中馬氏は、こう語る。
「再犯防止や更生保護といったテーマは、社会課題として語られることが少なく、ビジネスとしても敬遠されがちです。ですが、誰かが声を上げなければ何も変わらない。だからこそ、“ビジネスで解決できない社会課題”に挑む必要があると考えました」
多摩少年院から始まった「HIGH HOPE」の挑戦
「HIGH HOPE」は、2024年より多摩少年院(東京都)、福岡少年院(福岡県)、沖縄女子学園(沖縄県)などで展開されている起業家育成プログラム。若者たちがアントレプレナーシップを学び、将来的には自分の意思で社会とつながり、貢献できる人材になることを目指している。
このプログラムを受けた若者たちからは、
- 「今度は誰かを助ける側になりたい」
- 「失敗しても、やり直せると信じたい」
といった声が寄せられている。
更生の第一歩を「社会につなぐ」仕組みに
今回のクラウドファンディングでは、生分解性プラスチック素材(PLA)を使用し、府中刑務所の刑務作業で製造されたオリジナルTシャツが返礼品のひとつとして用意されている。このTシャツは、社会と刑務所をつなぐ象徴的なアイテムとして、「更生が誇れるものになる」というメッセージも込められている。
また、一部の支援者には6月18日・19日に実施される府中刑務所の見学会への参加権も提供。実際の刑務作業や再犯防止の現場を見て、より深く課題を知ってもらうことが目的だ。
「彼らに、幸せを諦めさせない」
罪を犯した事実は消せない。しかしそれが、希望を持って生きることを否定する理由にはならない。中馬氏は言う。
「彼らが罪を犯したことは事実です。反省し、償わなければなりません。でも、だからといって、10代の少年少女に幸せになることをあきらめさせてよいのでしょうか。
現状を知れば知るほど、彼らが夢や目標を捨ててひっそりと生きていかなければいけないとは、私たちには思えませんでした。自分のしたことを受け止めて、今度は人を助けたり、社会を良くする仕事をする人になれると信じたい。いい環境や出会いがあれば、彼・彼女たちの未来は絶対に変わります」
少年院での教育が、ただの更生にとどまらず、「社会を良くする人材」へとつながる。HIGH HOPEはその第一歩を示している。次代の社会起業家が生まれる場所として、少年院を“希望の出発点”に変える挑戦が、今まさに始まっている。