株式会社パイプラインは、全国の20〜60代の男女1,006人を対象に、「企業のサステナビリティへの取り組みに対する消費者の理解」に関する意識調査を実施。その結果、環境配慮の取り組みに対して約6割が“本当に効果があるのか”と疑問を抱いた経験があることが明らかとなった。
環境問題への取り組みが社会全体で加速する一方、現実の生活に直結するサステナブル施策が「本当に意味があるのか」という視点で厳しく評価されている現状が浮き彫りになった。
“エコ”が支持されるには、生活への配慮が不可欠
企業が取り組むサステナビリティ施策の中で、特に好意的に受け止められていたのは『商品パッケージの簡略化(31.3%)』や『環境に優しい素材の使用(24.1%)』など、日常生活に自然に取り入れられる取り組みだった。

一方で、不便さを感じた取り組みとしては、『紙ストローの導入(40.9%)』『レジ袋の有料化(32.8%)』『アメニティの提供中止(11.3%)』が上位に。特に紙ストローについては、「ふにゃふにゃになる」「味が変わる」「子どもが使いにくい」などの声が多く寄せられた。
調査では、「不便だと感じても仕方がない」と前向きに受け止めている人が約6割にのぼる一方で、「受け入れがたい」と感じる層も一定数存在し、企業の取り組みに対する“温度差”が明確となった。

購買行動への影響は限定的だが、姿勢次第で差がつく
サステナビリティ施策が実際の購買行動に与える影響について、「そのせいでお店の利用をやめたことがある」と答えた人は17.7%にとどまり、多くは“そこまで影響しない”と感じているようだ。
しかし注目すべきは、「企業の取り組みに対して最も好印象を抱くとき」として『成果が数字やデータで示されているとき(26.5%)』が最多だったこと。消費者はイメージや理念よりも、「本当に効果が出ているか」「実際に何が変わったのか」といった“見える成果”に価値を置いていることが分かった。
また、サステナビリティを評価する際に重視する項目としては、『実効性(47.0%)』、『利用者の利便性(41.3%)』、『環境効果の根拠(37.5%)』が上位に並んだ。

エコより重視される「安全・品質・価格」のバランス
「サステナビリティよりも優先してほしいものは?」という設問では、『安全性・安心感(28.4%)』が最多。続いて『商品の品質や使いやすさ』『価格の安さ』が挙げられ、エコだけを最優先する施策には限界があることが示唆された。
実際に、「エコが最優先であるべき」と答えた人はわずか5.4%にとどまっており、環境配慮は“他の価値と共存してこそ評価される”という意識が消費者側に根強くあるようだ。

まとめ:企業に求められるのは“伝わる成果”と“納得できる配慮”
今回の調査から見えてきたのは、消費者は「サステナブルだから良い」とは限らず、「生活の不便さ」「成果の不透明さ」にはシビアな目を向けているということ。環境配慮の取り組みは、数字や実例で“伝わる形”で成果を示し、生活者の視点に寄り添った配慮を行うことが、真の支持につながる鍵となりそうだ。
“エコだから仕方ない”ではなく、“エコでも快適”な選択肢を提示できる企業こそが、これからの時代に信頼される存在となるだろう。