ゼロカーボンシティ宣言とは 宣言していない唯一の県はどこ?

ゼロカーボンシティ宣言
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SDGsをはじめ、日本では以前から個人や企業に対して環境への配慮が求められています。生活するうえで大きな変化があったのは、無料のレジ袋が急速に減ったことです。買い物バッグやエコバッグなどを持参するか、有料のレジ袋を購入するかどうか選択するようになりました。

環境問題に対しては個人や企業だけでなく、都道府県や市区町村などの行政および自治体も取り組みを進めています。そのなかでも、多くの自治体が表明しているのが「ゼロカーボンシティ宣言」です。

この記事では、ゼロカーボンシティ宣言について紹介します。

目次

ゼロカーボンシティ宣言とは

環境省が提唱するゼロカーボンシティ宣言とは、「2050年に二酸化炭素(CO2)実質ゼロを目指す旨を、首長自らがまたは地方自治体として公表した地方公共団体」を指しています。

実質ゼロというのは、現在の社会において二酸化炭素の排出をゼロ(=全く出さない)ことは不可能です。そのため、排出する二酸化炭素の量を減らしつつも、森林などの自然による二酸化炭素の“吸収量”を増やすことで、実質ゼロの達成を目指しているのです。

ゼロカーボンが積極的に実施されるようになったのは、2015年に実施された「パリ協定」がきっかけです。このパリ協定のなかで温室効果ガスの排出量削減について言及されています。

温室効果ガスの排出量減少は、途上国を含むすべての参加国に求めていて、日本だけでなく世界各国で同様のゼロカーボンに向けた取り組みが進んでいる状況です。

ゼロカーボンシティ宣言を表明した自治体の数

2024年3月29日時点で、ゼロカーボンシティ宣言を表明した自治体は全国で1,078箇所です。日本には市町村数は1,718箇所あるため、約63%自治体が表明した計算になります。

内訳は以下の通り

  • 46都道府県
  • 603市
  • 22特別区
  • 352町
  • 55村

これらの自治体が「2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロ」と表明しています。

環境省が自治体を支援 ゼロカーボンシティ宣言をするメリット

これだけ数多くの自治体がゼロカーボンシティ宣言を表明するのには理由があります。

1.環境省から支援を受けられる

表明した自治体に対して環境省が温室効果ガス排出量などの現状把握に関してや、計画策定および立案、地域の合意形成といった支援をしてくれます。

ゼロカーボンシティへの知見やそれにかかわる人材の確保が障壁となって、目標を達成できないことを避けるためにも、環境省が中心となって各自治体をサポートし、日本として目標達成をしようと考えています。

2.地域貢献や地域活性化につながる

ゼロカーボンシティを目指すには、再生可能エネルギーなどを積極的に導入する必要があり、これによって新たな雇用の創出にもつながると考えられています。

さらに、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーにあわせて「蓄電」などの整備を整えることで、災害時も主要なインフラを停止する必要もなくなり、地域住民も安心して過ごせるようになります。

とくに、これからの時代はエネルギー燃料が高騰すると見込まれているため、太陽光発電をはじめとするエネルギー需要は増していくと見られています。

ゼロカーボンシティ宣言を表明していない唯一の県 茨城県の意向

前述の「ゼロカーボンシティ宣言を表明した自治体」の内訳で「46」都道府県と記載しているのは、いうまでもなくゼロカーボンシティ宣言を表明していない県があるからです。それは茨城県です。

ただし、茨城県はゼロカーボンを目指していないわけでは決してなく、そうせざるを得ない事情があるからです。

茨城県の本件に対する回答は茨城県公式サイトの「意見詳細」にて記載されています。このページは、住民からの質問や意見に対して県が回答するもので、2023年11月に「なぜ茨城県はゼロカーボンシティ宣言を表明しないのですか。理由があるなら教えてほしい」という意見がありました。

以下は県からの回答です。そのまま引用します。

このたびは、ご意見をいただき、ありがとうございます。
いただきましたご質問「ゼロカーボンシティの表明」につきまして、回答いたします。

地球温暖化対策を進めていくことは大変重要であり、本県としてもカーボンニュートラルの実現に向けて省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入、技術開発の加速化などの取組を進めているところでございます。

一方、「ゼロカーボンシティ」の表明にあたっては、2050年までにカーボンニュートラルを実現する道筋を描いたうえで、行いたいと考えております。

本県の温室効果ガスの排出量は、産業部門が約6割と高く、国の割合に比べて2倍近くとなっており、また、鉄鋼業や石油化学工業など、現在の技術では化石燃料から直ちに脱却することが難しい業種で占められています。
そのため、カーボンニュートラルを実現するためには、産業部門の構造転換や、様々なイノベーションが必要となりますが、現時点では、実現に向けた具体的な道筋を描くことが困難であると考えております。

本県といたしましては、地球温暖化対策に係る様々な取組等を進め、カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
ご理解いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

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ものすごく端的にまとめれば、「茨城県の中核を担う産業の影響で温室効果ガスの排出量がきわめて高い。ただ、現在の技術では現状を解消できない。そのため、ゼロカーボンシティに向けた具体的な道筋を描けないので表明していない」というものです。

回答のとおり、決してゼロカーボンシティ宣言を表明しないからといって取り組まないわけでもなく、あくまでも県として達成しづらい理由が明確にあるため安直には宣言はしませんよ、という意味なだけです。

実際、茨城「県」としては宣言を表明していないものの、たとえば水戸市や常陸太田市、石岡市、かすみがうら市などをはじめ数多くの市町村が表明しています。

ゼロカーボンシティ宣言

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