ヘリポートがあれば救える命がある 公共施設に防災設備として配備する意義

エアロファシリティー
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ことし1月、能登半島で発生した地震は甚大な被害をもたらした。犠牲者は7月1日時点で281人とされ、災害関連死(避難ストレスや疲れ等が原因とされるもの)の認定も増加している。

能登半島地震では、土砂崩れや地割れ、崩落、亀裂によって道路が寸断され、孤立した地域への支援や復旧が遅れたというニュースが散見された。陸路だけでは十分なインフラではない――。そう気づかされた。

甚大な被害をもたらした震災から得た教訓のひとつは「空路の活用」だ。

目次

ヘリコプターの需要が増すのに比例して求められる「ヘリポート」

ヘリコプターによる支援は以前からも活用されている。たとえば、医師を迅速に救急現場に運ぶドクターヘリの活躍は誰もが耳にしたことがあるはずだ。

これまでも自然災害が発生するたびに、ヘリコプターの重要性が唱えられてきた。とくに今回の能登半島地震においては、前述のように道路が寸断されたこともあり、ヘリコプターへの注目度が今まで以上に集まっていたように感じる。

そして、ヘリコプターの需要が増すのと同時に、ヘリポートへの関心も寄せられた。このヘリポートを中心として「防災」に取り組んでいるのがエアロファシリティー株式会社だ。

エアロファシリティーは、「これからの日本の安全のためにはヘリコプターの活用が欠かせない」という思いから設立された。ヘリポート事業のほかに、航空機・装備品事業などにも取り組む、空のプロフェッショナルだ。

エアロファシリティー ヘリポート事業 実績紹介

同社のヘリポートの特徴は、ヘリポートを単なるヘリポートとしての機能で終わらせないこと。手がけるのは「防災ヘリポート」だ。もっと言えば、“ヘリポート機能を備えた公共施設”の建築だ。

災害対策専用ではなく災害対策も兼ねている施設

エアロファシリティーが掲げる問題提起のひとつに「津波タワーや洪水タワーの“もったいなさ”」がある。

全国各地に津波タワーが存在しているものの、あくまでも“災害時に使う場所”という位置づけになっていることがある。ふだんから利用していなければ、とくに住民自身への機能面の理解・浸透が広がらないほか、何らかの設備に不備が発生している可能性もある。そして、設備の維持にはコストもかかる。

つまり、せっかく作ったのに、“もったいない”という状況になっていないか、というのが同社の問題提起のひとつだ。

エアロファシリティーが考えるのは、ふだんは公共施設、たとえば公民館やクリニック、はたまたヨガ教室など、平時から住民が使える場としての側面をもたせる。いざとなった際には、屋上にヘリポートがあるため、避難や支援に利用できる。このような複合的な施設が必要なのではないかという。

同社が手掛けたヘリポート設置の数は非常に豊富だ。現在は全国の病院へのヘリポート配備が多いものの、北海道から九州にいたるまで全国各地の施設でヘリポートを提供している。

ちなみに、同社ではヘリポートの素材にはアルミデッキを推奨している。軽量なのでビルへの重量負担も少なく、コンクリート素材に比べて経年劣化も少ないそうだ。メンテナンス負担も減らせるなどの特徴があると担当者は話してくれた。ちなみに、提供しているヘリポートのなかには、積雪地域用アルミデッキのものなど、地域ごとの気候にあわせたものもある。

ヘリポート最大の課題は「騒音」と「風」

エアロファシリティーのサイト上に記載されている内容ではあるが、ヘリポートをつくるときに気にするべきは騒音と風だ。いくら防災などの緊急時のためと言いつつも、その付近で生活する人たちは気になる。

たとえば、病院にヘリポートを設置したときを想像してみよう。おそらくヘリポートを備えた病院であれば、ヘリコプターで重篤な患者を病院へ搬送する際などに使われることが主になる。ヘリコプターによる騒音は、離着陸するヘリポート(今回であれば病院)だけでなく、付近の施設や住宅にも影響をあたえる。

実際、設置計画中の住民説明会などでも直下騒音が主に心配される点だという。つまりは、この計画時のタイミングから周辺への騒音問題について発生を想定する必要がある、とエアロファシリティーはいう。

騒音対策については、エアロファシリティー社では「屋上に設置するヘリポートであれば、地上ヘリポートに比べて騒音対策としても適している。また、地上ヘリポートでは飛行ルートの確保が難しいケースもあるため、屋上に設置することが多い」と述べている。

これは風に関する問題でも同様だ。飛行ルートの直下では、台風並みもしくはそれ以上の風が吹く。自転車置き場の自転車は軒並み倒れ、大人でも立っていられないほどの強風だ。車イスの方やベビーカーが飛行ルートに侵入するなんてもってのほか。とても危険だ。

そのため、ヘリコプターが飛来する数十分前には、事前に警備員等を配置し、飛行ルールの直下に歩行者などが入らないようにすることも求められる。くわえて、自転車置き場などには事前に頑丈な屋根を設け、ヘリコプターの風を直接受けないようにするなどの施策も必要だ。

このように、ヘリコプターとヘリポートは“事前に”考えておくべきポイント、そして住民たちにしっかりと説明し理解してもらうべき要素がいくつもある。しかし、本稿冒頭に記載したとおり、地域を救う存在であることに違いはない。

ドローンなどで食品や医薬品等の輸送も進むように、ヘリポートやヘリコプターの起用がもっと盛んになっていけば、空から命を救うことが一般的になりそうだ。

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シクチョーソンでは、デジタル庁 河野太郎大臣の講演をはじめ、「自治体・公共Week2024」で実施された各種セミナーや出展ブースのレポートなどを公開中。気になる取り組み、参考にしたいサービスなどを紹介しているのであわせてチェックしてください。

自治体・公共Week2024 レポート記事一覧

展示会概要
展示会名自治体・公共Week2024
会期:2024年6月26日(水)~2024年6月28日(金)
会場:東京ビッグサイト 西展示棟
※本展は業界関係者のための商談展です。一般の方はご入場できません。

エアロファシリティー

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