宇宙で安定保存可能な「紫米」が未来の食糧自給自足を支える――岡山大学が研究成果を発表

紫米
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岡山大学は2025年1月26日、紫米が宇宙環境での安定保存に適していることを明らかにした研究成果を発表しました。この研究は、紫米に含まれる抗酸化物質アントシアニンが宇宙放射線や太陽光から種子を保護する仕組みを解明したもので、人類の月や火星での活動における食料自給自足に貢献する可能性を秘めています。

目次

紫米の驚異的な保存能力を解明

国際宇宙ステーション(ISS)の船外で440日間保存された紫米と白米を比較したところ、紫米の生育率が白米の3倍以上に達することが判明しました。さらに、紫米では船外保存中に発生した遺伝子損傷の数が白米よりも少なく、アントシアニンの効果で紫外線や宇宙放射線によるダメージが軽減されていることが明らかになりました。

宇宙環境での食糧確保への期待

宇宙環境では放射線や太陽光による酸化ストレスが発生し、DNAや細胞にダメージを与えるため、種子の保存や栽培が困難とされています。本研究は、紫米のアントシアニンが種子の貯蔵型mRNAを保護し、生育率を高める仕組みを解明しました。この成果は、宇宙での長期的な種子保存や植物栽培における重要な知見を提供し、人類の未来の食料問題解決に寄与する可能性を示しています。

研究者のコメント

岡山大学の杉本学准教授は、「この成果により、宇宙で『おにぎり』や『お茶漬け』を楽しむ未来が近づいた」とコメント。過去には宇宙で保存した大麦種子を用いて世界初の宇宙ビール「Space Barley」を醸造した経験もあり、食文化の多様性を宇宙に広げる可能性を感じさせます。

研究の社会的意義

本研究は、紫米がもつ耐性が宇宙環境における植物栽培の課題解決に役立つことを示しています。紫米のような資源を活用することで、月や火星での持続可能な農業の基盤構築が期待されます。また、地球上でも、種子の保存や栽培効率の向上を目指した技術開発に応用される可能性があります。

今後の展望

岡山大学は、宇宙での食料生産に向けた研究をさらに推進し、紫米を含む植物の特性を活かして、持続可能な未来を実現するための科学技術を提供することを目指しています。

詳細情報

  • 論文名:Anthocyanin can improve the survival of rice seeds from solar light outside the international space station
  • 掲載誌:Life Sciences in Space Research
  • 著者:Manabu Sugimoto, Masahiko Maekawa, Hajime Mita, Shin-ichi Yokobori
  • URL論文リンク

紫米の未来に向けた可能性について、岡山大学の研究が新たな一歩を示しました。地球を超えて広がる食文化の未来に期待が高まります。

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