青森県で大量に廃棄されるホタテの貝殻を資源として活用し、地域活性化と環境保全を目指す新たなプロジェクトが始動した。株式会社TBWA HAKUHODO、甲子化学工業株式会社、株式会社山神が共同で、貝殻を再利用した新素材「SHELLTEC(シェルテック)」を開発し、その第一弾として、雪かき用スコップ「HOTASCOOP(ホタスコップ)」と、貝殻素材を活用した観光型公園「HOTAPARK(ホタパーク)」の構想を発表した。
本プロジェクトは、青森県と株式会社eiiconが主催する「あおもりオープンイノベーション共創プログラム(AOMORI OPEN INNOVATION PROGRAM 2024 Blue Ocean)」の一環として推進され、青森県のホタテ貝殻廃棄問題の解決と、持続可能な地域づくりを目指している。
ホタテの貝殻を活用した雪かきスコップ「HOTASCOOP」
青森県では毎年約5万トンのホタテ貝殻が排出され、その多くが産業廃棄物として処理されている。一方で、近年の豪雪による雪かきの負担も深刻化しており、身体への負担を軽減しつつ、環境に配慮した雪かき道具の開発が求められていた。
「HOTASCOOP(ホタスコップ)」は、この課題を解決するために生まれた。SHELLTEC素材を活用することで、一般的なプラスチックスコップに比べて耐久性が向上し、雪かき作業の負担を軽減することが期待される。厚生労働省によると、雪かきの身体活動強度は6メッツ(バスケットボールやウェイトトレーニングと同等)に相当するほど負荷が高く、地域住民にとって身体的な負担の軽減は重要な課題となっている。
「HOTASCOOP」は現在、試作開発の段階にあり、今後テストを重ねながら、実際の使用感を検証し、商品化に向けた準備を進めていく予定である。
地域資源を活かした観光型公園「HOTAPARK」
「HOTAPARK(ホタパーク)」は、青森のホタテ貝殻を再利用した公園として、廃棄物削減と地域の観光活性化を目的に企画された。SHELLTECを活用することで、環境に配慮しながら地域の魅力を高める新たな観光スポットの創出を目指している。
この公園は、単なる遊具や休憩スペースにとどまらず、都市と自然が調和するデザインを取り入れ、地域住民や観光客にとって心地よい空間となるよう設計される予定である。貝殻という自然由来の素材を活かし、循環型の社会を実現する場としての機能も期待されている。
現在、青森市内での建設計画が進行しており、地域住民や行政と連携しながら、持続可能な観光資源としての活用を模索している。
SHELLTEC—貝殻を再利用した新素材の可能性
SHELLTECは、廃棄される貝殻を資源として活用する日本初の新素材であり、ホタテ貝殻に含まれる炭酸カルシウムをプラスチックやコンクリートと組み合わせて再利用することで、高い耐久性を持つ素材を実現している。
- 環境負荷の軽減:新品のプラスチックと比較して最大36%のCO2削減を実現
- 強度の向上:従来の素材と比べて曲げ強度が約33%向上
- 幅広い活用:ヘルメット、テトラポッド、建材など、さまざまな製品に応用可能
この技術はホタテ貝殻だけでなく、ムール貝や牡蠣の貝殻にも応用でき、今後はさらなる製品展開が期待されている。
SHELLTECはすでに一部の製品で実用化が進んでおり、今後は企業や自治体との連携を強化し、持続可能な社会の実現に貢献するプロジェクトとして展開していく予定である。
持続可能な地域づくりへの展望
青森県にとって、ホタテ貝殻の廃棄問題は長年の課題であり、これを資源として活用する取り組みは、地域経済や観光産業の発展にも大きく寄与する可能性がある。「HOTASCOOP」と「HOTAPARK」は、こうした課題解決のモデルケースとなることを目指し、今後さらに発展していくことが期待されている。
このプロジェクトを通じて、環境負荷を減らしながら、地域の産業と観光を活性化させる取り組みが全国に広がることを願いたい。