株式会社Ridilover(リディラバ)は、トヨタ自動車株式会社の新規事業開発プロジェクトにおいて、社会課題を解きほぐすための独自ノウハウ「構造化」を解説・提供するプログラムを実施した。
このプログラムは、社会課題をテーマに新規事業を創出するトヨタの社内仕組み「BE creation」の一環として開催されたもので、リディラバが展開する講座『RUSH』をベースに、講義と伴走支援を組み合わせた構成となっている。
社員発の新事業を後押しする「BE creation」制度
トヨタ自動車が推進する「BE creation」は、顧客起点のアイデアをもとに、社員の想いから新たな事業を立ち上げるための社内制度だ。なかでも、社会課題を現場で体感し、その課題を起点に事業を構想する「社会課題Deep Diveコース」では、実際の課題解決を視野に入れたビジネスづくりが進められている。
今回の取り組みでは、そうした課題解決型の事業開発を後押しする手法として、リディラバが提供する「構造化」の手法を取り入れた。
課題の本質に迫る講座『RUSH』とは
リディラバの講座『RUSH』は、漠然と語られがちな社会課題について、構造の背景や要因を「分解」して把握する力を育むオンライン講座だ。現場取材と調査報道の実績を持つ同社ならではの視点で、課題の全体像やボトルネックを可視化する方法論を提供している。
今回は、トヨタの新規事業開発チームに対して、以下の3回構成で講義を実施した。
- 第1回:テーマ別(食品ロス、介護、ヤングケアラーなど10テーマ)
- 第2回:構造パターン①(サプライチェーンの不全、偏在など)
- 第3回:構造パターン②(歴史的文脈の顕在化、抜け出す難しさのギャップなど)
実践に役立つ構造化の視点、事業創出にも貢献
受講者からは「制度や関係者の構造が理解でき、事業化へのヒントになった」「構造的な整理を通じて、本質的な課題解決の道筋が見えた」といった声が寄せられており、企業内での課題設定力や仮説構築力を高める場として高く評価されている。
また、講座を通じて「社会課題の構造を見える化し、適切な手を打てるようになる」「ニュースや社会現象を構造の観点から捉える習慣がついた」といった変化も見られた。
トヨタ担当者も実感「構造化は事業開発に有効な視点」
トヨタ自動車 先進プロジェクト推進部の増井徳弘氏は、「社会課題を自分事としてとらえ、構造を言語化する力は、事業化の現場で有効な武器になる」と語る。加えて「構造化を共通言語とすることで、社内の起案者と事務局のコミュニケーションがスムーズになった」と、導入による副次的な効果にも手応えを感じているという。
社会課題を起点とする事業開発の未来を切り開く
リディラバがこれまで手がけてきた400以上のスタディツアー、1,000本以上の調査記事の積み重ねが、今回のプログラムにも活かされている。ミクロな事例とマクロな構造の往復を通じて、社会課題の“見えにくい本質”に迫る姿勢は、企業の新規事業創出に新たな視座を提供している。
今後もリディラバは、こうした構造化のノウハウを企業・自治体に広げ、社会課題の解決を志向するビジネスの実現を後押ししていく考えだ。社会に眠る「未解決の問い」に事業で挑む、その一歩として注目を集めている。