青果の総合流通企業・株式会社ファーマインド(東京都千代田区)は4月18日、茨城県稲敷市にて「株式会社ファーマ村いちご農園 稲敷農園」第一期の竣工式を開催した。同農園は2020年に設立された株式会社ファーマ村いちご農園によるプロジェクトで、今回竣工した2haに続き、将来的には4.5haまで拡大し、日本最大規模のいちご農園を目指す。
栽培効率と作業環境を両立 最新技術を導入した農業施設
新設された稲敷農園では、上下稼働式のリフティングシステムを採用。作業していない栽培ベンチを上げて通路を確保することで、限られた空間を最大限に活用し、通常の高設ベンチ栽培に比べて1.8〜2倍の株数を栽植できる。また、ベンチの高さ調整により作業者の身体的負担を軽減し、効率的な作業を実現している。
環境制御・省エネ・循環型――持続可能な農業へ
施設内には、遮光・保温カーテンや温湯暖房などの設備を統合制御するシステムを導入。クラウド上で遠隔操作が可能で、栽培環境の最適化と安定的な品質確保に寄与している。
加えて、省エネ技術として太陽光集熱パネルと局所暖房システムを導入。夜間には温水を栽培ベンチ周辺に流し、無駄なエネルギー使用を抑えている。さらに、排水を殺菌して再利用する循環型養液栽培を採用し、水や肥料の使用量を削減するなど、環境負荷の低減にも取り組む。
輸送から輸出までを見据えた品質管理体制
収穫後のいちごは、園内の冷蔵庫で予冷されたのち、専用冷蔵トラックでファーマインドの青果センターへ輸送。その後も低温物流網(コールドチェーン)を通じて全国の販売拠点へと届けられる。温度管理の徹底により、鮮度と品質の維持が可能となっている。
また、今後の海外輸出も視野に入れた減農薬栽培にも挑戦。病害虫の侵入を防ぐハウス設計や、エアシャワー・靴底消毒・苗の殺虫処理といった徹底した衛生管理を行っている。
国内農業の持続可能な成長モデルへ
ファーマインドは、農業の生産性と持続可能性の両立を目指したモデルを全国に展開中。稲敷農園はその中核となる拠点のひとつであり、技術・品質・物流を一体化した先進的農業経営の実証例となる。
今後も地域と連携しながら、国産農業の競争力向上と、新しい農業のかたちを提案していくとしている。