佐賀県有田町は、東京理科大学 経営学部 国際デザイン経営学科(森本千佳子 准教授)、株式会社iRucと連携し、観光施設の情報発信力を高める観光DX実証実験を実施した。Googleマップのビジネスプロフィール(GBP)を活用し、訪日外国人観光客への訴求効果やクチコミの活用可能性などを検証した。
観光庁方針に基づき地域資源の魅力をデジタルで発信
実証は2024年10月〜2025年2月、有田町内の観光施設や商業エリアにて実施。GBPを活用して情報発信の最適化を図るとともに、英語をはじめとする多言語での投稿や写真付きクチコミの強化、SNS連携などの手法を導入した。
東京理科大学は、生成AIを活用した情報発信の効果測定を実施。クチコミのポジティブ投稿や写真付き情報発信によって、GBPのインプレッション数(表示回数)が大幅に向上したことを確認した。また、株式会社iRucによる解析では、言語別や業種別で訪日客の興味・関心が異なることが判明。これにより、観光施設が顧客ニーズをより細かく把握できる可能性が示された。
実証で得られた主な成果
- 観光施設の視認性が向上:検索結果での表示機会が増加
- クチコミの質と量が改善:多言語化により、訪日前の情報収集に貢献
- 業種別インサイトを可視化:飲食・宿泊・陶磁器販売などで異なる評価傾向を把握
今後の展開:通年観光の推進とイベント連動
有田町では、今後もクチコミの活用やGBP最適化を進めるとともに、観光客と町民が自然に情報発信できる環境づくりを目指す。有田陶器市などのイベントにおいてもSNSと連動し、町全体の観光情報発信力を高める計画だ。
また、有田町役場のGBPに観光情報を集約することで、訪日客への包括的な情報提供を目指す。Googleマップの活用は、訪日前の観光検討時点での認知度向上に大きく貢献すると期待されている。
有田町長コメント
有田町では、コロナ禍後の観光業の再生へ「通年観光・インバウンドの拡大」を進めています。本実証実験を通じて、有田焼の魅力をより多くの訪日観光客に届けるための新たなデジタル戦略を目指します。今後も取り組みを発展させ、地域の価値向上を目指します。