教育格差が生まれた原因は? 人口流出と何が関係している?

教育格差
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地域活性化や都市圏一極集中に付随して問われるのが「教育格差」に関する問題です。

とくに行政が支援する教育に関するサービスにおいても格差が生まれていることや、就職などの面からも地方ではなく都市圏の学校に通わせる、通いたいと考える人が多い実状です。

この記事では、教育格差の現状についてわかりやすく紹介します。

目次

教育格差とは

教育格差とは、“本人の選択に関わらず”生まれ育った環境や条件によって、子どもが受ける教育の質や量が変わり、学歴や職歴、そして人生に影響を与える問題です。貧困問題と密接な関係でもあります。

とくに日本においては、義務教育として小学校・中学校に通うことが定められているものの、学外活動として習い事に通っていたり、旅行やイベントごとに参加する経験にも差が生まれています。

家庭の事情はさまざまであるものの、子どもに経験させたくてもされられない、生活に余裕がない家庭が多いのも事実で、昨今の物価高騰の影響も多大に受けています。

その結果、子どもの成長とともに、学業および学業以外での経験といわれる“教育”に差が生じ、教育格差が広がっているのです。

過去のデータの話でありますが、2009年に東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センターが2009年に発表した「高校生の進路と親の年収の関連について」によれば、4年制大学への進学率は年収400万円以下の家庭が31.4%だったのに対し、年収1,000万円以上の家庭は62.4%でした。

もちろん、大学に進学するしないは家庭だけでなく個人の選択による自由なので、一概にこのデータがすべてとは言えないものの、少なくとも子ども本人が希望したとおりに必ずしもことは進まない可能性がある、とは言えるでしょう。

教育格差が生まれた原因

教育格差は先に記載したとおり、“本人の選択に関わらず”発生してしまう問題です。この問題の原因は大きく分けてふたつ存在します。

1.経済的格差

こちらも先に記載したように、家庭の経済状況によって格差が生まれてしまうものです。

当然、経済的に裕福な家庭であれば子どもに対して、学習塾や習い事、そのほかの行事やイベントに通う・参加する機会を多く与えられます。それこそ、学習塾であればより質の良い塾に、といった選択権を所持しています。

一方で経済的に余裕のない家庭は、教育や習い事などの子どもに対して与えたい経験の選択肢が裕福な家庭に比べて狭まりやすいです。最近では、格安な学習塾やいわゆるボランティア活動の一環でさまざまな機会を提供してくれる行政サービスも出ているものの、家庭環境による差を埋めることは難しいでしょう。

2.地域環境による格差

生まれ育った地域環境による格差も依然として生まれています。

最近ではオンラインスクールなど、パソコンやスマートフォンなどで全国どこにいても学習する機会は増えました。ただ、インフラ設備の乏しさなどや生活環境によっては、このようなオンライン学習もままならない地域もあるようです。

くわえて、交通インフラが整備されていない関係で、進学の選択肢が狭められてしまうといったことも発生します。

学習という面では以前と比較して徐々に地域格差は埋まりつつありますが、環境特有の経験を積む場所は地域ごとに埋めたくても埋められない差があるのも事実です。

ただし、地域環境の話だけを取り上げれば、決して都市圏がすべて優れているわけでもありません。たとえば、いわゆる“地方”においては自然あふれる環境であるため、自然に関する取り組みは都市圏在住の人々よりも多くの機会があります。また、教育の先にある就職の話などでも、たしかに都市圏には都市圏にしかない就業先もある一方で、地方には地方にしかない働き先もあります。

ひとえに格差という言葉だけだと、どうしてもマイナスなイメージがつきまといますが、地域特有の要素もある点は、ポジティブに捉えられる部分であることには間違いありません。

教育格差と人口流出、一極集中の関係

当然ながら行政も教育格差の問題解決に向けて大きく動き続けています。とくに、子育て支援はトピックとしても多大な比重を占めており、「子育てのしやすさ」「子育てへの支援具合」で居住地を決める家庭も少なくありません。

わかりやすい例では、東京都が今年度から実施する高校授業料の無償化です。高校授業料が無償化されるのであれば、東京都で子育てしようと考える家庭も少なからずあるはずです。さらに考えると、東京都ではない県で子育てを検討している家庭にとっては、東京都に引っ越そうと考える可能性もあります。近隣の神奈川県や千葉県、埼玉県などに暮らす家庭にとっては、検討材料のひとつでしょう。

これが意味するのは東京都への人口流出です。そして社会問題のひとつでもある都市圏一極集中の問題がさらに加速する可能性もあるのです。

ただ、東京都の取り組みのみに関して言えば、授業料無償化は都内における教育格差の是正のための手段

であるため、社会課題の解決に向けた素晴らしい取り組みです。

行政におけるサービス内容の差が発生していることが問題であるので、決して東京都の取り組みが誤っていることはないと考えられます。

この行政によるサービスの差は、言うまでもなく財源の差から生じています。

東京都はほかの都府県に比べると潤沢な財源を保有しているため、多くの政策や施策を打ち出せます。その結果、このような地域における格差・・・そして教育格差が生まれてしまっているのです。

どの行政や自治体でも、財源さえあれば東京都と同等のサービスを住民に提供したいはずです。しかし、現状の一極集中問題などからも、地域格差が生まれてしまい、結果として教育格差につながっているのです。

教育格差問題に対して私たちができること

この教育格差問題に対して、多くの企業が取り組んでいるのも事実です。

たとえば、新型コロナウイルス感染症によりオンラインスクールやオンライン授業が急速に普及しました。この普及によって、先にも紹介したように、地域における教育機会の差は埋まりつつあります。

同時に、オンラインスクールなどを営む事業者も増えたことで、子どもたちに教育の機会を与えやすくなっています。

オンラインスクール以外にも、放課後の取り組みとしてボランティアなどが特別授業や各種スポーツの振興などにも取り組んでいます。身近な地域や場所でも何かしらの取り組みがあるのではないでしょうか。

また、ふるさと納税やクラウドファンディングを活用した教育資金の応援活動も広まりつつあります。

子育て・教育支援を目的としてふるさと納税・クラウドファンディングを通じて寄付・援助・提供する動きも活発になっています。

国や行政として教育格差を埋める動きも当然ありつつも、実状としてはまだまだ課題は山積みです。多くの企業も社会課題の解決として教育格差問題の解決に挑戦しています。

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