人口約7割が漁業に携わる瀬戸内海坊勢島 持続可能な産業の実現に向けパルシステムらと連結協定を締結

パルシステム
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パルシステム連合会と坊勢漁業協同組合、兵庫県漁業協同組合連合会、全国漁業協同組合連合会は9月21日(土)、4者による産直提携事業に関する協定書を締結した。

水産品の取引や漁業体験など利用者との交流を通じて、地域の持続可能な水産業の発展に貢献することが目的だ。坊勢漁協はパルシステムの15番目の水産産直提携産地となる。

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坊勢漁協で水揚げされた魚介類限定の商品開発も

パルシステムでは現在、坊勢島から北東に20キロメートルの兵庫県漁連水産加工センター(姫路市白浜町)で加工される「兵庫県産いかなごくぎ煮」などを供給している。今後は坊勢漁協で水揚げされた魚介類限定の商品開発なども視野に入れ、取引を拡大していく予定だ。

産直提携を通じて、利用者と生産者の交流を深め、坊勢漁協の豊かな海づくりへの理解を深めていく。

「つくり育てる漁業」に尽力

瀬戸内海の家島諸島のひとつである坊勢島は、人口の約7割が漁業に携わる水産業の島。

保有する漁船数は827隻で、単一漁港当たりの船籍数は日本一を誇る。坊勢漁協では年間をとおし80種以上の豊富な魚介の水揚げがあり、漁獲高も県内トップクラスだ。

豊かな海に暮らしを支えられている坊勢漁協の人びとは、資源管理型の持続可能な水産業を重視しているという。

最大で幅100メートル高さ25メートルの人工魚礁を海中に多数設置し藻場を作り、産卵場所として稚魚の成育を促す。中間育成施設も設けてヒラメやカレイの稚魚を育て放流し、牡蠣や海苔などの養殖も盛んだ。

近海で漁獲したサバは、海上生簀で約40センチ前後に成長させ「ぼうぜ鯖」としてブランド化するなど、つくり育てる漁業に力を入れている。

「水産資源減少の危機的状況を乗り越えていく」

豊かな海をつくる漁業の様子は、見学船「第八ふじなみ」から間近に観察でき、稚魚の放流やサバの餌やりなどの漁業体験も可能だ。水揚げされた魚介類は姫路港のJFぼうぜ姫路まえどれ市場で味わえ、坊勢漁協の豊かさを体感できる。

▲ 「第八ふじなみ」での漁業体験の様子

一方で、豊かな漁場を有する坊勢漁協も国内水産業の動向に違わず、漁業者の高齢化や原油価格高騰による操業影響などの課題を抱えている。

気候変動や海水温上昇による漁獲量減少も心配され、将来にわたる漁業の継続のため対策が必要だ。

今回の産直提携により、水産品の取引をはじめ利用者が産地を訪れ地域への理解を深めることで、坊勢漁協の発展を後押ししていく。

坊勢漁協竹中太作代表理事は「近年の海の環境変化に伴い、底引き網や磯端の漁業が特に厳しくなっています。産直提携は、坊勢漁協にひとすじの光が見えた思いです。これからの浜の推進力となることを期待したい」と豊かな海づくりと水産業継続に向けた連携への期待を語った。

また、パルシステム連合会専務理事の渋澤温之氏は「小さな魚ばかりが獲れるなどの資源状況を目の当たりにしました。水産資源減少の危機的状況を乗り越えていくため、協同組合間連携の力を発揮したい」と消費の力で地域づくりの一助を担うことへの抱負を述べている。

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