群馬県庁の会議室21ヵ所の鍵がスマートロックに切り替わった。ひとつの会議にかかわる短縮効果は10分以上にもなるという。
導入したのは株式会社ビットキーのコネクトプラットフォーム「workhub」とスマートロックだ。
カレンダーツールへの将来的な連携性、工事不要が決め手
これまでの県庁舎では、職員が会議室を利用する際に鍵を貸し出す運用だった。Outlookカレンダーで会議室を予約し、11階の財産有効活用課の窓口で所属部署や名前を確認してから借りていた。33階建ての庁舎では、複数回に会議室が点在していた。
そのため、会議の前後に鍵を持ち運ぶ時間が職員の負担になっていたという。さらに、各会議室に対してひとつの鍵で運用しているため、返却が遅れた場合に次の利用者が利用できないといった問題も発生していた。
これらの課題を解決し、業務効率化を図るためにスマートロックの導入は以前より検討していた。そのなかで、ビットキーの「workhub」は、県庁のWi-Fiを使用せずにLTE通信で利用できるセキュリティ上の利点、将来的に県職員の利用するOutlookカレンダーと連携できる点、工事が不要でコスト面でも負担が少ない点などの長所があったことで、同社のサービスの導入が決まった。
「便利になった」が98%
workhubによる運用では、全会議室の鍵の解錠が可能なカードキーを各課に配布されている。Outlookカレンダーで会議室を予約した後に、各課で保有しているカードキーを持って会議室に行くことで鍵を解錠できるようになった。会議室利用後は、鍵を閉めてカードキーを各課に戻すだけだ。
スマートロックを導入したことで、鍵を受け渡すための移動が不要になった。また、17時15分の定時以降など急な会議開催でもスムーズに会議室の利用が可能になった。
スマートロックの試験導入時した際の利用者へのアンケートでは、「便利になった」という回答が98%となったほか、従来の運用方法と比較した場合の1会議あたりの時間短縮効果について「10分以上」と回答した方が63.9%という結果を得られた。
利用者からは以下のコメントが寄せられている。
- 鍵を借りる・返すための時間を見積もらずにすむようになったのが一番助かりました。高層階から向かうと、タイミングにもよりますが、かなり時間がかかっていました。
- 後ろの時間に別の予約が入っていても慌てて鍵を返却しに行く必要がなくなり、心理的負担がかなり軽減された。
- スマートロック化は大変便利になったので感謝しています。一方で、所属配布枚数に制限があるので、将来的には職員証等と結び付けて個人単位で開け閉めできると便利だと思いました。
群馬県 総務部 財産有効活用課 主事 中山 樹氏からは以下のコメントが寄せられた。
群馬県庁では、新・ぐんまDX加速化プログラムを策定しており、全庁を挙げてDXを推進しています。この度、会議室の鍵をデジタル化したことで、業務時間の削減はもちろんのこと、働きやすさの観点からもポジティブな反応がありました。職員へのアンケートでは、「鍵の受け渡しが不要になり、その分、業務に集中できるようになった」という声もあり、取り組みの意義を感じています。
また、鍵を管理する側の業務効率化にも大きく貢献しています。従来は一日約20件の鍵受け渡しの手間と、鍵返却が遅れている場合に催促する負担が有りましたが、それらがなくなり、一日あたり1時間から2時間程の業務を削減できました。ビットキー社にはカードキーの権限設定などを丁寧にサポートいただき、予定よりも早期かつスムーズに導入することができました。物理鍵にまつわる課題は会議室に限らず様々あります。今後も職員の働きやすさ向上に繋げるための業務効率化を進めていきたいと思います。