現職が「無敗」の不敗神話は継続した。
7月7日に東京都都知事選が実施され、現職の小池百合子氏が三選となった。インターネット上では石丸氏を推す声が随所にあったものの、自治体別の投票数はすべての自治体で小池氏がトップとなり、結果として小池氏の「圧勝」で終わった。
今回の都知事選の投票率は60%を超えており、平成以降では2番目に高い数値という。前回は55.00%だった。急速に変化する情勢や、インターネット上での活動なども影響・後押しとなり、投票率が伸びたと考えられる。
さて、本記事では選挙そのものについての話ではなく、小池氏、石丸氏にくわえ投票数3位の蓮舫氏の3名それぞれが掲げた「政策」について、備忘録としても記録を残すべく記事でまとめていく。
小池百合子氏が掲げた政策
出典:小池百合子氏 公式サイト
セーフシティ
- 地震・火災から命を守る木造住宅密集地域の解消促進
- 新たな「調節池」の整備で水害に強いまちづくり
- 災害時、道路を活かし命を守る「無電柱化」の推進
- 900万人が暮らす「マンション防災」の強化
- 「シェルター整備」でミサイルの危機から都民を守る
- 安全・安心で快適な「避難所改革」の推進
- 富士山噴火を想定した降灰対策の実施
- グリーンインフラでまちの保水力を上げる
ダイバーシティ
- 無痛分娩費用も新たに助成、妊娠・出産の経済的負担をさらに軽減
- 保育の無償化、第一子まで拡大!
- 学童保育の待機児童ゼロと質の向上へ
- 学童対策の抜本的充実
- 子育て支援世帯への家賃負担の軽減
- 所得制限なし高校授業料実質無償化を推進
- 新たな大学生向け奨学金制度の創設へ
- 東京都版海外留学制度の創設
- デジタル活用で個別最適化した学びの更なる推進
- フリースクール、不登校特例校設置など多様な学び支援
- 障がいの有無に関わらず学ぶインクルーシブ教育の推進
- 先生たちの負担を軽減し、働き方改革を推進
- 支援員の配置強化で中学校でも35人学級へ
- 女性活躍基本条例の制定で輝く女性を増やす
- 年収の壁を超える対策の加速
- ソーシャルファームをもっと加速
- 障がい児を育てる家庭への支援拡充
- 公共交通機関のバリアフリー化をさらに推進
- 就労困難者雇用促進でもっと働く選択肢を
- ペット殺処分ゼロのその先へ、動物愛護施策の更なる推進
- 認知症になっても安心な都独自の認知症専門病院創設へ
- 最後まで自宅で叶える在宅医療介護支援強化
- おひとりさま高齢者の支援を強化
- 特養やグループホームなど、介護基盤の更なる整備
- 東京都版介護職員昇給制度を構築
- 何歳になっても社会で活躍、70歳までの就業促進
- シニアの社会参加を応援
- あらゆるケアラーを支援する
スマートシティ
- 暮らしをもっと支える物価高騰対策
- 防犯カメラの設置拡大や防犯機器助成拡充
- 熱中症から命を守る、暑さ対策の推進
- 世界をリードする脱炭素の取組を加速
- 東京のみどりを守り、活かす取組「グリーンビズ」
- 手頃な価格で住める「アフォーダブル住宅」の推進
- もっと行きたくなる都立公園改革の推進
- シルバーパスの改善
- 農林水産業の振興
- 水の都の再生
- 江戸・東京の文化を世界遺産に
- ナイトタイムエコノミーの推進で夜も楽しめる東京へ
- 観光振興の更なる加速
- 新たな文化芸術祭の開催
- 2025年世界陸上・デフリンピックの成功
- 世界に誇れるスポーツ拠点の形成
- 中小企業の賃上げを徹底支援
- 事業継承・再生支援で新たな価値創造を支援
- スタートアップを支援し東京からユニコーンを創る
- 男女賃金格差の解消に向けた支援の加速
- 働くひとたちを守る、カスハラ条例の制定
- 同一労働同一賃金に向け非正規雇用の処遇改善を支援
- クリエイターの才能を育むプロ養成機関の創設
- 「市町村総合交付金」の更なる充実(医療費助成、給食費補助の拡充など)
- 島しょ振興策の拡充
- 多摩モノレールの更なる延伸
- 多摩モノレールをシルバーパスの対象に
- 中央線など鉄道駅へのホームドア設置の加速化
- 行政手続きの100%デジタル化へ
- TOKYOダッシュボード(仮称)による行政データの可視化
- 東京都の情報を一元化、申請や施設予約、提言等簡単にできるTOKYOスーパーアプリの開発
- 公共Wi-Fiの更なる整備でいつでもだれでもつながるインターネット環境の整備
- 都内区市町村のデジタル化を支援する「GovTech東京」の開発力強化
石丸伸二氏が掲げた政策
出典:石丸伸二氏 公式サイト
政治再建
- 都政の見える化・分かる化を進めます!
SNS・YouTubeを活用し、都民の皆さんの関心を都政に向けます。ガイドラインを遵守し、情報公開を徹底します。 - ICTを活用して民意を集約します!
アナログ・デジタル情報を効率的に収集し、住民のニーズを分析。行政サービスの最適化を進めます。 - 政策を合理化・適正化します!
利権政治から脱却し、バラマキ事業を廃止。経済合理性に基づいた政策で全体最適を図ります。
都市開発
- 災害リスクへの対応を強化します!
自助・共助・公助の役割分担を明確化し、災害への備えを整えます。復旧・復興に対する財政的な準備(リスク・ファイナンス)を強化します。 - 経済と環境、二つのエコを両立します!
経済(エコノミー)を軸に、環境(エコロジー)を整備。人と自然の調和を図り、物質的・精神的な豊かさを追求します。 - 多摩格差の是正に取り組みます!
基礎的な行政サービスの充足を促し、各自治体の特色を強化するために、ハード・ソフトへ投資します。
産業創出
- 教育の深化・進化に取り組みます!
教職員の働き方改革が進むよう学校環境を改善し、民間のサービスを導入して学校教育を充実させます。 - 外需を取り込みます!
インバウンドを円滑に取り込み、経済波及効果を高めます。世界に通じるコンテンツ産業を育成します。 - 46道府県との協調・協働を推進します!
ライフサイクルに合わせた回遊型社会を構築し、相互作用的な地方との文化交流の機会を提供します。
蓮舫氏が掲げた政策
出典:蓮舫氏 公式サイト
現役世代の手取りを増やす / 本物の少子化対策
- 新しい条例で、都と契約する事業者に、働く人の待遇改善を要請します
- まずは非正規の都職員を、専門職から正規化するなど処遇を改善します
- 新しい職種に転職しやすくするリスキリング(職能再開発)を支援します
あなたの安心大作戦 / 頼れる保育・教育・介護・医療へ
- 福祉の現場などで働く若者の奨学金返済支援や家賃支援を拡充します
- 教師の付随業務を減らし、子どもとの時間を増やします
- 認知症対策を強化し、介護のために離職をしないで済む社会にします
もっと多様で生きやすく / あなたの人生の選択を大切にする
- 不合理な慣習や制度で困っている女性を応援する施策を進めます
- 自治体や企業との連携で「パートナーシップ宣誓制度」を利用しやすくします
- 都内160 万頭のペットと豊かに共生できる都市をめざします
本物の行財政改革 / 徹底見直しで、ガラス張りの都政に
- 毎年の継続チェックが重要であり、事業評価を毎年全事業に対して行います
- 「東京版・行政事業レビュー」を導入して、ガラス張りの都政を実現します
- 公金や補助金の支払先を原則公開し、新たなビジネスチャンスを生み出します
本物の東京大改革 / 古い政治から、新しい政治へ
- 絶大な権力を有する都知事だからこそ、政治資金パーティーは開催しません
- 意思決定プロセスを透明化し、都の持つデータをオープンデータ化します
- 専門家や当事者で「知事直轄円卓会議」をつくり、ボトムアップの都政にします
東京全体をもっと良くする / 未来への責任/住みよい多摩へ
- 神宮外苑の再開発を見直して、大切な緑を守ります
- 都心にもっと緑地を増やし、緑豊かな国際都市をめざします
- 多摩地域の一部に導入されていない学校給食の無償化を実現します
良い政策は発展させる / 行政の継続性も大切に
- 防災・経済・警察/消防・子育て支援・国際都市/文化芸術都市・高齢者福祉などの分野でも良い政策は、これからも引き続き取り組み、さらにパワーアップさせます
東京都の政策はほかの自治体・行政のモデルケースになりやすい
東京都は全国の自治体のなかで最大であることから、その行政手法や取り組み内容などをモデルケースとして扱われることが多い。もちろん、地域ごとの課題がすべて東京にも共通しているわけではないが、たとえばテクノロジーをつかった手法は、豊富な人材がいることから、ほかの地域よりも解決のための速度が早いことが往々にしてある。
東京都都知事の任期は4年であるため、小池百合子氏は掲げた政策を4年間かけて達成させるために行動していく。
政策を掲げている段階の現在においては、それぞれの項目を具体的にどのように動かし、どのような人や企業、団体に協力を仰ぎ、どのようなスケジュールで推進していくのかはわかりかねるものの、今後の取り組みがどのように進んでいくのかは楽しみだ。
人によって、注目する政策の領域やカテゴリは異なるものの、「少子化」「高齢化」「人口一極集中問題」など、人そのものに関する施策の動きは特に注目していきたい。