少子化対策のひとつとして、各自治体は子育て支援施策を実施している。住民に対して安心して子育てしてもらえるようにすることで、地域からの転居を防ぐのはもちろん、「〇〇市は子育てに“優しい”から、子どもができたらそこに引っ越そう」となる可能性もあるためだ。
自治体らは数々の施策を実施しているなかで、個人的にも気になったサービスがあるので紹介したい。それは株式会社Kids Publicが提供する「小児科オンライン」「産婦人科オンライン」だ。
子育てや女性の悩みを24時間相談可能 回答するのは専門医
Kids Publicが提供する小児科オンラインは0〜15歳の子どもに関する悩みを、産婦人科オンラインでは妊娠中から産後、そしてすべての女性の悩みを相談できる。両サービスともに利用者は無料で使え、24時間のウェブ相談受付、電話による夜間相談(要予約)などが可能だ。
特徴は、それぞれのサービスに寄せられる相談への回答に小児科医、産婦人科医らが対応する点だ。というのも、最近ではLINEなどを使った「チャットボットによる相談受付」は多くの領域・事業者が提供しているものの、Kids Publicが提供するこれらのサービスへの回答は専門医が対応する。
専門医が対応することについてKids Public社に話を聞いたところ「人の悩み、それも子どもやお母さんに関する悩みや不安は、機械的な回答よりも、人による回答のほうが圧倒的に安心感を与えられる」と回答した。
事実、過去に同社が実施したアンケートにおいても、小児科オンラインを利用したことで利用者の93%が「子育ての不安が減った」と回答している(n=43)。
自治体や企業が多数導入 奈良県三宅町では満足度100%
小児科オンラインや産婦人科オンラインは、すでに導入している自治体や企業などは数多い。たとえば、富山県や山口県、東京都では日野市なども連携している。豊富な実績があるので、詳しくは導入事例ページを参照してほしい。
同社のサイトに掲載されている導入実績のなかでは、奈良県三宅町の例に注目したい。三宅町の人口は6,841人で、全国でも面積が2番目に小さい自治体だ。老齢人口比率32.9%で、年少人口比率10.2%と少子高齢化および人口減少が著しいという社会課題を抱えていた。
そこで三宅町ではこれらの課題を解決するために、子育て支援を最重要政策と位置づけた。その政策の一環として、小児科オンラインや産婦人科オンラインの導入に至ったという。
利用した三宅町の住民にアンケートを取ったところ「医師が個人にアドバイスしてくれることで、より安心することができた」「子供の急な発熱について相談したが、医師の方が丁寧に説明してくれたので、不安を払拭できた」といった回答があった。アンケートでの「同サービスを再び利用したいかどうか」の設問に対しては、「利用したい」が91.3%、「どちらかといえば利用したい」が8.7%で全体の100%がサービスに満足した結果だ。ちなみに、三宅町の町長もこのサービスを利用しているそうだ。
また忘れてはいけないのは、Kids Publicのこれらのサービスは少子化対策などだけでなく、たとえば病院に気軽に行けない地域などの住民に対してのケアにもなる。「病院に行くほどではないけれど…でも先生に相談したい…」「病院まで遠くて気軽に通えない」といった悩みを抱えている人は実は多いように感じる。そうした住民の悩みを解決できるサービスという位置づけである点も見逃せない。
これらのKids Publicのサービスは、自治体が導入していれば住民サービスとして、企業が導入していれば福利厚生として使える。そのため、住んでいる地域の自治体が導入していないなどであれば、残念ながら利用できない。
住んでいる地域で導入していないケースに対しKids Publicは「ぜひお住まいの自治体に、産婦人科・小児科オンラインを導入するようパブリック・コメントを提出してください」とよくある質問にて回答している。
もちろん、自治体側が住民サービスとして先立って導入したり検討したりするのがベストであることには違いない。ただ、このようなサービスがあるというのは、自治体職員の方だけでなく、住民にも知ってもらいたいトピックだ。
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シクチョーソンでは、デジタル庁 河野太郎大臣の講演をはじめ、「自治体・公共Week2024」で実施された各種セミナーや出展ブースのレポートなどを公開中。気になる取り組み、参考にしたいサービスなどを紹介しているのであわせてチェックしてください。
展示会概要
展示会名:自治体・公共Week2024
会期:2024年6月26日(水)~2024年6月28日(金)
会場:東京ビッグサイト 西展示棟
※本展は業界関係者のための商談展です。一般の方はご入場できません。